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2020年09月18日06:54

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身につまされるなぁ 「夢を売る男」 百田尚樹

再読だが、面白くて一気に読了。
エッセイや小説を書いて世の中に
出たいと思ってる素人を相手に、
共同出版というエサを使って
金を出さそうとする出版社の
物語。

「自分を表現したい」病にかかった
この本に出てくる登場人物は、
二十代の頃の自分を見ているようで
身につまされる。

同人誌で小説を書いたり、自主映画製作に
参加したり、劇団に入ったり、バンドを
作って歌を作ったりと、二十代はとにかく
表現者として世の中に出たかった。

貧乏絵描きの父親が息子より先に家出をし、
家族の面倒を見なきゃいけなくなった長男の
僕は、高校を卒業し国鉄で働きながらも
なんとか「自分を表現したい」とジタバタしてた。

三十になり、ライターで食えるようになって
からもその病は続いた。
消えたのは、40代に入り、映画の脚本や
プロデュースを始めてから。
映画を作るためにお金集めを始め、
大勢のスタッフと一緒にモノを作る喜びを
覚えたときから、「自分」病がだんだんと
消えていった。

とくにメインの仕事のひとつが、イベントや企画を
作るプロデューサーになってから、自分が出ると
いうより、才能ある人をどう応援するか、に
考えが変わっていった。

尊敬する立川談志師の名言に
「幸福の基準を決めろ」というのがある。
僕にとって、今の基準は、
芸術・芸能に囲まれて生きていれば幸せ、である。
好きな本、映画、絵、お笑いなどを見る時間と
財布に自由に使えるお金がいつも
3万円ほどあれば、万々歳、である。

しかし百田さん、こういう世界書かせたら、ほんと
意地悪でうまいなぁ。
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