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2020年02月21日02:04

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来週は仕事でドイツ

「来週は仕事でドイツなの」

話し始めたのはレッド(女性)さん。
その昔ビダルサッスーンアカデミーで教えていた先生。
当時私もよく通訳させてもらった。
背が高く色白で説明もハキハキと明確でうまい。
なので午後の実習で生徒の皆さんが先生の指導のもと、モデル(一般の方達)のヘアーカットをする時も、そのテキパキとした指導と説明で分かりやすく、いつも一番最初に仕事が終わっていた。
その手順をちょっと説明するとセクションの取り方、形、など説明しながら最初のセクションから2〜3セクションまでカットして見せる。
そのあとから生徒が説明通りにカットする。
ところが中にはすぐに自分の世界に入り込む先生もいて、実習であることを忘れ黙々とカットし続ける先生もいた。
たまりかねて、「あのー、このモデルさんは生徒さんのためのモデルさんと思うので少し切らせてあげませんか」とお願いしたこともある。
幸い性格の良い先生だったので「あ、そうだったね、すっかり忘れてたよ」と生徒に譲ってもらえた。
これがまだ新米のあまり自信のない先生だったら、あの通訳は余計なことを言うなんて告げ口されていたところだった。
ともかくロンドンのサスーンアカデミーで1週間コースを取る方々はサロンのオーナーさんだったり、マネージャーさんだったり、経験豊かな美容師さんがほとんど。
大金叩いてこのコースを体験する皆さんの楽しみと言うか最も大切な体験は午後の実習なのだ。
その時モデルがたらなかったり、先生がほとんど切ってしまった時の失望感は想像に余る。

クリエイティヴでもあり指導者としても優秀だったレッドさんだが、ある時突然サスーンを退社し、メイクアップアーティストとに転身。

「ヘーエ、ドイツではどんな仕事?」

「映画のね」

「映画!どんな映画?」

「なんでもシューベルトの人生後半の死ぬまでのストーリいらしいのよ」

私も含めた3人の女性たち、ヘーエとレッドさんを見つめる。

「だからあの当時の衣装とか髪型とかメイクを研究しているの、ふふ」

と楽しそうなレッドさんを見つめる我々3人。
私達4人は数年前他界なさった我が家の向かいのジューンさんを忍んで、毎年1回このレストランで食事をしている。






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