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2019年02月20日03:56

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出版された本

「もしもし7時に来る?」

「えっ、なんのこと?」

7時に来るかと聞かれても何かに招待された覚えはない。

「あ、7時にね例の本を届けたいんだけど行って良いかな?」

なんだ、聞き間違いか、彼が行っても良いかと聞いているのだとわかった。

「あ、ああ、あの本?嬉しいわ、待ってるね。」


電話はその昔次女が17歳の頃のボーイフレンドから。
その彼も今は50歳。
次女も40代後半。

その後二人は別々の道を歩んだが、やがて彼から声をかけられ、一緒にレイベルの仕事を始めた。レイヴの流行っていた頃。
私にはよくわからん音楽とレイヴパーテイの世界。
その、後彼はドラム&ベースの世界では名を知られる存在になっていた。
レイヴ音楽のDJを日本やアメリカ等々にも送り込んだ。
今はそのレイベルも閉じ、彼は他のことにチャレンジしようとしているが、その前に本を書こうと決心。
そして今年になってその本が出来上がった。
早速2冊を注文。
それを持ってきてくれるというのだ。

ちょうどシメサバがあったのでアボカド、シメサバそれにネギと生姜で海苔巻きを作った。
鳥のモモ肉を買ってきて唐揚げ。

ハグで迎える。
「あれ、KOKOはこんなに小さいんだ」

よく言われる。
「私、縮んでいるかもね。本のことよく頑張ったね。」

「うん、大変だったけどね。昨年は調子悪くなって何ヶ月かタイに逃避したよ。でもなんとか書き上げたんだ、誰の手も借りないで正真正銘僕の力だけでね。」

「すごいねー、読むのが楽しみだわ。」

海苔巻きと唐揚げを食べ終わった頃には一応の互いの近況も伝え合って、昔話になった。

「Y(私の次女)はね、僕が本当に好きになった初めての女性だったんだよ。」

「ええっ?」
彼は次女よりずっと年上だと思っていたのでびっくりした。実は2歳年上だけだった。大きいのでずっと年上だと思っていた。

「15年後に終わった時、僕は泣いて泣いて大変だったよ、なんとか乗り越えるのに。」

「ええー、そうなの?」

「本当、本気だったんだ。」

「まあ、、、、」

「今はお互い良い友達だけどね。」

そんなことがあったんだ。
あの頃の私は娘二人と何匹もの猫を養うのに必死で、そんなドラマがあったとは知らなかった。
彼のことは柄が大きく怖そうな感じだったけど、どこか寂しそうで、でも暖かそうで最初から気に入っていた。
そうだ、私の大好きな強面の雄猫ゴンタみたいな男性だと、今気が付いた。




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