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2021年03月09日20:15

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ジョンクゥアン著「世界初、史上最大の百貨店王 ジョン・ワナメーカー」読書感想

『ジョン・ワナメーカー』と聞いて、
パッと人物を
イメージできる人って、
どれくらいいるんだろう?
正直、僕は初耳だし、
検索をかけても、
グーグルなら約98,700件が
検索されるが、
人物を詳しく知る手立ては、
あまりあるとはいえない。
日本語のウィキペディア
でさへ取り扱っていない。
グーグルなら、
英語のウィキペディアでも、
日本語に翻訳してくれる
機能があるので、
読めなくは無いが、
日本語が変で読みにくい(^^;
功績はたくさんあるのに、
人物事態は日本では
あまり有名じゃないし、
ましてやキリスト教信仰の
強さなど、
日本では誰も語らない。
ただ、いくつかの格言が
信仰から切り離した形で
紹介されているサイトが、
ぽつぽつあるだけだ。
なぜ、そうなるのか。

思い当たる節があるとすれば、
彼の主義主張や、してきたことが、
日本の企業にとって、
特にブラック企業にとって、
これ以上は無いほどに
耳の痛い話ばかり
だからではないかと、思われる。

彼は、自分の店を持ち、
従業員が増えるに従って、
当時のアメリカの企業が
考えもしなかった、
社員に対する福利厚生を
次々に実施し、
社員には十分な休息や
有給休暇(義務的に)、
十分な収入、
営業時間の短縮、
リゾート地などでの
社員専用の福利施設の建設、
保険制度、
店内に社員専用の
医療施設を設置、
などなど、
枚挙に暇の無いほどの、
厚遇処置をそれが当然だと、
実施した人物だった。
自分が若い頃に、
ある衣料店で働いていたとき、
過労で倒れたことがあった。
それが、この社員厚遇を
実施させるひとつの要因だった。

つまり、自分も苦労したのだから、
みんなも苦労しろ!
とは思わなかった人だ。

これだけならば、
本当にただのいい人で
終わってしまうが、
彼はそれ以外にも、
当時としては画期的な
アイデアを次々に思いつき、
実施した人だった。
インパクト重視の
ポスター、新聞の一面広告、
定価のはっきりしない店が
普通だった時代に、
完全定価制を導入、
店舗への電気の装備、
電話機の設置、
レストランの運営。
今ならば、どれも
当たり前のこととして、
大型小売店がしていることの
その殆どは、
ワナメーカーが
創案したものだった。

彼の経営手腕を買った
当時の大統領が、
政府の要人を
民間人がするなんて
想像もできなかった時代に、
彼を大抜擢し、
郵政長官に
招聘したほどだった。
彼はその仕事も、
次々に新しいアイデアを実施し、
郵便事業を
大きくしただけでなく、
政府の運営資金の
調達までできる
システムを開発した。
記念切手の販売、
郵便貯金の創設、
宅配小包の取り扱いetcetc・・・・

YMCAの働きにも参加し、
横浜に日本の
YMCA第一号施設の
開設費用を出したのも彼で、
そのほかインドや中国、
朝鮮半島にも、
YMCA施設の
開設費用を出している。

ピューリッツァー賞で有名な
アメリカ人ジャーナリスト、
ジョセフ・ピュリッツァーは、
ワナメーカーの
郵政長官就任に際し、
不正があったのではないかと、
不正を暴くための取材を試み、
結果、賞賛するはめに
なるなんてこともあった。

普通なら、これで、
「ああ、すごい人だったんだね」
で終わるのだけど、
こんな紹介では、
彼のしたことはわかっても、
なぜそうしたかを
知ることはできない。
小牧者出版から発売された、
一冊の本がある。
タイトルは、ほぼずばり
『世界初、史上最大の
百貨店王 ジョン・ワナメーカー』。
アメリカ在住の韓国牧師が
徹底的な取材を元に
書いた本を
小牧者出版が和訳して、
日本で出版しているものだ。
この本を読んで、
僕が一番に感じたのは、
僕自身の矮小さだった。
キリスト教信仰
という面において、
僕は劣等生だと
自認してはいるのだけれど、
だからこの
ワナメーカーの純粋さ、
徹底した信仰に
裏打ちされた行動言動に、
打ちのめされた気分だった。

そもそも僕は伝記モノに関して、
それはその人の生き方であって、
それと同じ行き方を
他の人がしても、
その人と同じに出来るわけも、
なれるわけも無い
という冷めた見方をするのが常だ。
そんな僕が、
肖りたいと思ってしまうとは(^^;

彼は、主日を守ることを徹底した。
従業員に信教を押し付けたりは
しなかったようだが、
一番の稼ぎ時であるはずの
日曜日を、
徹底して店休日としたし、
日曜学校の教師としての勤めを、
長官時代でさへも
殆ど休まなかった。
教会の建設や、
YMCAの支援に支出を惜しまず、
出来る限り信徒を
助ける働きをした。

彼の信仰が、彼を成功させた。
とは言わない。
だが、彼の行動が、
信仰から出ているとは、
はっきり断言できる。
彼の生き方は、真似したくても
なかなか出来るものじゃないけど、
同じクリスチャンであることに、
誇りを感じることは出来る。
それがまた、
信仰するうえでの
力となるような気がする。

まあ、信仰抜きにしても、
ブラック企業の経営者には
是非一度、
読んでいただきたい一冊だし。
ブラック企業に
泣かされている人たちも、
それを従容と受け入れる
しかないと諦めるのじゃなく、
こんな経営者も
いるんだということを
知るきっかけになると思われる。
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