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2020年07月14日21:50

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奥野修司著「魂でもいいから、そばにいて ”3・11後の霊体験を聞く”」読書感想

科学大すき者や、
クリスチャンなどは、
このタイトル
だけを見ると、
眉に唾してかからねば。
的に思う人も
いるかもしれないけど、
この本は、
お化けは居るよ。
というお話では
決してない。

大切な家族を
失った人の
その悲しみやはけ口
としての、
自分のまわりに
起った事の意味着け
としてのそれを、
真実だと思いたい人が
誰かに話すことで
より一層その核心を
強め、生きる糧
とするための物語を
集めた話集
であるのだろう。

著者は
『小沢一郎 覇者の履歴書』
『隠蔽―父と母の〈いじめ〉情報公開戦記』
『心にナイフをしのばせて』
など、硬い現実路線を
主とする著者が
あえて挑戦した
異色ノンフィクション
といったところ。

実際、これらの
取材の聞き取りの執筆で、
著者自身は、
霊は本当にいるとか、
証言者の言葉は
紛れもない事実だ
とは一言も
書いてないどころか、
それが生き残った人間の
慰めとなる
という風な事を
書いているだけである。

著者の取材に応じて、
失った家族の話を
した人たちの、
気持ちは
わからなくもない。
死んじゃったけど、
傍にいて欲しい、
傍にいるんだと
思いたい気持ちは、
痛いほどによくわかる。
割と言霊信仰が
無いわけじゃないので、
文字起こしも
したくない事を
想像することはある。
やはり、僕も
「魂でもいいから、
 そばにいて」
と思う事だろう。

そんなわけで、
泣ける話の
オンパレードか?
と言えば、そうでもない。
だからといって、
つまらない本
というわけでもない。
家族を失った事と
どう向き合うかは
人それぞれだろうけど、
この本に出てくる
人たちのように、
生きる意味を
見出せるのなら、
それをいちいち、
ありえない事だよ
と言って回る必要は
ないように思う。

本の中で
中谷宇吉郎という
物理学者の言葉が
紹介されている。
「大自然という
 大海の中に
 論理という網を
 投げて、
 引っ掛かってきた
 ものが科学的成果で、
 大半の水は
 科学という
 網目からこぼれ落ちる」
もう亡くなっちゃたけど、
スティーブン・ホーキングさんに
読ませたいお言葉である。
人が、神様を
越えられない以上、
人知を超えて
信じがたい事というのは
起こりえるもの
だとは思う。
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