自分は農家である。
何を思ったのか、先祖代々の土地があるわけでもないのに、農業を始めてしまった。
後悔はない。
金もない。
前の職場で鬱になりかけていたので、正直に言えば逃げた。
農業にはマイペースでやれるという気楽さがあるような気がした。
太陽の下で四季を感じながら仕事をすることも、工場で毎日毎時間同じ作業の繰返しをするよりも魅力的に感じた。
マイペースというわけにはいかず、樹の成長や成育に合わせて仕事が変わるので大変ではある。
望んでいないのに雑草も日々伸びる。
虫も出る。
大変ではあるが、生き物らしく生きている感じがある。
概ね満足している。
…お金がないことを除けば。
農業をやっていて思い出すことがある。
嫌になってやめた、前の職場で言われたことだ。
農家は個人事業主だ。
個人事業主には自由と責任がある。
仕事を増やすのも減らすのも自由。
丁寧な仕事をするのも手抜きをするのも自由。
品質の高い品物を作るのも、粗悪品を作るのも自由。
しかしその選択の結果は、自己責任である。
率直に言えば収入に差が出る。
結婚をしたことで、以前よりもお金を稼ぐことに意識がいくようになった。
そうなると、会社で言われたことが頭に浮かんでくる。
仕事をしやすい環境を作ること。
時間を気にしながら作業をすること。
品質に気を付けること。
…等々。
会社で働いていた頃の自分は、弱くていい加減だったんだなと思う。
でも会社に戻りたいとは思わないし、鬱になりかけた原因の人間には感謝の気持ちは浮かばない。
でも、言っていたことは正しかったと思えるようにはなった。
お金を稼ぐことは容易ではない。
しかし農業の良いところは、収入を増やす算段がしやすいことと、やったことがストレートに自分に還ってくることだと思う。
農地を増やしたり、丁寧な仕事をして品質が上がれば収入は増える。
会社の利益が増えても従業員の給料には大して反映されない。
給料据え置きで、労働時間だけが長くなる場合もある。
個人事業主は正しい資本主義を感じられる気がする。
なんとなく書きたかった( ̄ー ̄)
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