接種証明書への道

新型コロナの感染者が激減していることから、経済再開を巡る動きが活発になりつつある。普段はライバル関係にある外食産業が共同でイベントを開いたのも、その好例だろう。急激な人出の増加はリバウンドの懸念もあるが、これ以上の経済のシャットダウンは自殺者を増やすことにもなりかねず、いまこそ政治の役割が求められている。

ワクチンパスポートという言葉は、半年以上前に河野さんの口から聞いた記憶がある。日本でも国を限定して海外渡航者向けに発行を始めたようだ。しかし、ニュースを見るとフランスでは９月の段階で１２歳以上に「健康パス」を出し、スマホを見せるだけで国内で使用可能なワクチン２回の接種証明としている。一部に民間の動きはあるようだが、いま日本でこれと同じことをしようとすれば、ワクチン接種時に渡された紙の証明書を出すしかない。デジタル国を目指すと大見栄を切ったのに、このアナログ感には唖然とする。

最初からフランスと同じようなことを想定していれば、ワクチン接種時に証明書へ切り替えられるアプリくらい開発できたはず。もちろん、ワクチン接種はあくまで個人の自由意志であり、アレルギーや持病の都合などで接種できない人は抗原検査など別の手段で証明する選択肢も必要だろう。いずれにせよ、日本のコロナ対策が後手後手に回っていることは否定できない。選挙の争点にするのもけっこうだが、アフターコロナへの道筋は待ったなしである。