葛尾村にヤギ牧場

私はテレビでちらっと見ただけなので、詳しいことはわからないが、お隣の葛尾村にヤギ牧場ができたらしい。コロナ禍でオープンが１年ズレたみたいだが、葛尾村でこういう取り組みが進行しているとは知らなかった。栃木県のヤギ牧場とも提携し、子どもとヤギのふれあいだけでなく石鹸やアイスクリームなどの販売も視野に入れているそうだ。

この報道に私が反応したのは、実は昔の葛尾村でヤギの話を聞いていたから。村は競馬馬の育成や牛の酪農も盛んだったが、ヤギの肉を沖縄に出荷していると聞いたことがあるのだ。沖縄でヤギの肉の刺身を食べるのは有名だが、葛尾の精肉店から出荷していた。それを聞いたのは私が都路通いをしていた３０年ほど前の話で、その精肉店でご馳走になった記憶も微かにある。わが都路でそんな話は聞いたことがない。

震災後、福島ではあらゆる地域振興策を見聞きしてきたが、野菜工場や酒造りなど似たようなものばかり。はっきり言えば金太郎飴なのだ。ヤギを除草対策に利用している事例は耳にするが、地域おこしの目玉として活用しようという例は、少なくとも震災後の福島では初めてだろう。震災前に登場したダチョウ似のエミューのような新しい動きだ。コロナ禍で全体の需要が落ち込んでいる酒造りに比べれば、期待できそうな取り組みではなかろうか。