イチゴは大丈夫？

最初に断っておくが、私は果物のイチゴがそれほど好きではないので、勝手な感想を書かせてもらう。震災で福島の農業が風評被害を受け、それが原発事故後１０年を経ても収まっていないことに県民の１人として驚きと悲しみを感じる。福島農業の再生には多くの農家がさまざまな努力をしていることは取材や報道で知っているつもりだが、なんか作物が偏ってるなあという気がしないでもない。

震災直後は野菜工場だったが、ここ数年はイチゴ栽培に着手する生産者、それも新規就農者が目立って増えている。私が知っているだけでも５カ所以上。地元マスコミもそれを盛んに取り上げているが、「甘くておいしい」という決まり文句ばかりだ。甘い果物が好きな人には、それも魅力だろう。しかし、果物の糖度も過剰摂取は病気の原因になりかねないし、ましてイチゴとケーキの組み合わせは相当の糖分になる。

東北で震災前からイチゴ栽培が有名なのは福島県境にある宮城県山元町だが、そのいちご園に私の知り合いも勤めている。こういう観光農業が成り立つのは試食と直売が結びついているからで、さらに果樹店、スーパー、ケーキ屋と販路が広いから。年に数千万円の収入を得ている農家も少なからずいるようだ。とはいえ、こんなに次々とイチゴ園ができると共倒れにならないのか心配になってくる。余計なお世話であればいいのだが。