菅首相が大熊町に訪れたばかりだが、最近の報道によれば帰宅困難区域を抱える５町村でつくる協議会は、復興拠点以外の避難指示解除について、具体的な方針を６月までに国が示すよう要望したという。福島県民でも知らない人は多いし、まして県民でなければ何の話やらさっぱりわからないだろう。帰宅困難区域は５町村以外に飯舘村と南相馬市にもあるのだが、人が住めるようにする復興拠点は全体の約８％に過ぎない。
この問題を複雑にしたのは、勇退した飯舘村の菅野村長が除染をしないで解除することに理解を示したから。その他の市町村はそういう展開はまったく想定していなかったので、帰宅困難区域を抱える自治体同士でも分断が生じてしまったのだ。この問題はイチエフの汚染水処理と似ており、現実と理想が錯綜している。安全と安心は違うという哲学的な領域に入っているのだ。
理想を先に言えば、故郷を失われた人はたとえ年月がかかっても除染で元の環境に戻してほしい、いや戻すのが当然だと思っている。だから、その約束手形を先に示してほしいと要望しているのだ。では、現実はどうか。帰宅困難区域の広さは計約３４０平方�舛發△襦�ちょっと不謹慎な比較かもしれないが、つい最近の足利市の大きな山火事の３倍くらいあるのだ。その大部分が山林であることを考えると、首相が明言するほど簡単な問題でないことことは確か。仮にできたとしても、莫大な時間が必要だ。
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