山林が投資対象？

コロナ禍で株価が急騰したり、１００円からできる株式投資商品が登場したり、何か嫌な空気が漂い始めている。一部で金余りが起きていることは経済の素人である私にもわかるが、テレビの報道で驚いたのは日本の山林でも投機対象とする動きが出始めていること。まんざら冗談でもないらしい。

タレントのヒロシがソロキャンプを流行らせて１年くらい経つが、コロナ禍で生活スタイルを見直す動きが出たことは確かである。私も編集部の指示で昨秋、キャンプ向け山林物件の取材をやったくらいだ。そのニーズが２〜３倍くらいに膨らんだとしても、山林相場を変えるほどのものとは信じられない。ところが、テレビでは「キャンプ経営を始める人や整備のニーズで山林相場が上がっている」と真面目に報じていた。

私の身近にもキャンプ場を始める同業者はいるが、会員制にするのだとか。たぶん本業のライター業より優先するつもりはなく、遊び心のほうが強いはずだ。日本の林業が低迷してきたのは、田中角栄の時代に行われた拡大造林の失敗に端を発する。みんなバカバカ家を建てて建材の需要が拡大すると見込んでいたのに、材木は安い輸入材に押されて、大部分の針葉樹が放置されてしまった。花粉症もその副作用の１つである。それがコロナ禍で地価相場まで変えると信じている日本人がいるとすれば、かなりおめでたい。まさにバブルの再来を見ているような感じだ。