菅さんの経歴を巡って

日本はいま、中国とも韓国とも友好関係にあるとは言えない。だから菅さんが新しい総理になってアジアでどういう評価をされるのか気になるところではあったが、報道によるとおおむね好意的に捕らえられているようだ。例えば中国のポータルサイト「百度」。地盤も知名度もお金もない政治家が日本のトップになったことに、「三ない政治家」と驚きを持って伝えている。

多少ニュアンスは違うが、韓国のメディアも菅さんを安倍首相とは違う政治家と見ているようだ。親の仕事や本人の学歴が重視される韓国から見れば、確かに菅さんの事例は本国ではあり得ないことなのだろう。共産党の権力が大きい中国だって、菅さんのような経歴でトップに登りつめるのは不可能。だから驚きのコメントが出てきても不思議はない。

もっとも、日本のマスコミはそんなに優しくないから、菅さんの２人の姉は大学を出て教員になったこと、菅さんの子どもにも東大卒がいることなどを伝えている。菅さんが自分の生い立ちを強調しすぎたのが裏目に出ているのかもしれない。それでも出稼ぎで工場勤務、法政大学の夜間部に通ってから政治家を志したことは事実で、安倍首相とはガラリとイメージを変えたことは確か。ただ、満鉄出身の父親がイチゴ農家の先駆者だったというから、新しもの好きの血は受け継いでいるのかもしれない。