金吾さんの死

２日、ご近所の長老・渡辺金吾さんが亡くなった。満で９５歳になったばかり。男性では大往生といえるだろう。実は半年くらい前、この近くの駐車場で動けなくなっている金吾さんを発見。本人は自分の足で買い物できると思っていたようだが、自宅から１００ｍが精一杯だったようだ。私もそのとき救助した１人なので、そろそろかなとは思っていたが、残念ながら年を越すことはできなかった。

写真を探したのだが、高齢で代替わりしており、なかなか見つからない。ようやく発見したのは、２００６年に近所で行われた自宅葬の手伝いの場面。今から１３年前だ。金吾さんはその後も老人クラブの会長などを務め、地域に欠かせぬ人物として活躍した。炭焼きもずっとやっていたし、口も達者。少し身勝手な行動はあったけれど、みんなに愛された人だった。

忘れもしない３・１１。大きな余震が続くので私らは渡辺家のビニールハウスに避難したのだが、金吾さんは隠居屋でくつろいでいた。ちょっと顔を出したら「飲んでけ」と言われたので、気を失う手前までそこで飲んだ思い出がある。「俺は土葬でなければ嫌だ」と最後まで主張した人でもあった。いま通夜は葬祭場が当たり前だが、遺族が「せめて通夜は自宅でやっから隣の葬式班（山本家を含む）の人も来て」というキカセが。今夜だが、多くの義理をいただいたので、早く原稿書きを終わらせて顔を出さねばと思っている。