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2019年11月20日08:36

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悪筆でも通用する理由

自慢じゃないが、取材のときノートにメモする私の字は汚い。はっきりいって悪筆である。近くで編集者やカメラマンに覗かれると、「山本さんしか読めないね」と指摘されるので、「いや、俺だって読めないんだよ」と答えて呆れられる。でも、原稿を書く前に目は通すので、相手の会話を思い出しながら赤ペンで補足することも。それで困ることはないし、いまは原稿の本人確認が原則になっているから、事実誤認で文句を言われる心配もほとんどない。

私は当初、ノンフィクション系のライターを目指していたので、長文の原稿は間違えないようにテレコを使う。でも、雑誌の仕事は本文よりもコラムやキャプション等が重視され、膨大なデータを集めても書くスペースがない。テープ起こしをするだけムダだ。大昔、作家のニコルさんを取材したときテープを使わなかったら、「お前はテープを使わなから物書きだ」と誉められた。短文だからそうしたまでだが、そういう価値観を持った作家もいる。

確かにテープを使えば、どうしたってメモは疎かになる。しかし、機会だから壊れるリスクがないわけではない。やっぱり基本は相手の話を聞きながら、現場で質問とメモ書きを繰り返すことなのだ。頭の中に記憶が残っていれば、悪筆でも相手の話した内容はだいたい思い出すもの。それができなければ、たぶんプロの物書きにはなれないだろう。ただ、たまにやってくる新聞記者はみんな字がきれい。たぶん若いときに訓練させられたんだべなあ。

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