２度の取材延期

田舎暮らしを専門分野にしている私は、野外で取材する場面が多い。たいていはカメラマンとの共同作業だが、かなり難しい局面でも最終的には何とかなってしまう。だから編集部はごり押しするんだと陰口をたたくこともあるが（笑）、今回ばかりは違った。取材場所の南相馬市は台風１９号で避難指示が出たところ。予定日の１３日は川の氾濫で大混乱し、早々に取材延期が決定した。翌１４日はサンマパーティができるくらいの天気だったが、南相馬はそれどころではなかっただろう。

取材は１９日に変更。その４日前くらいから晴れの日が続いたので、今度は大丈夫だろうと高をくくっていたら、南相馬で早めに避難指示が出た。その情報はＳＮＳでいち早く得ていたが、台風よりはマシと強行取材を覚悟。ところが、東京の編集部にもその情報が伝わり、「さすがに避難指示が出ているときには無理」と再延期に。３０数年のライター人生で、こんなことは初めてだ。

２度目の避難指示は早々に解除されたので、たぶん取材はやろうと思えばできた。しかし、向こうは度重なる大雨で地盤が緩んでおり、雨が止んでも河川の氾濫や土砂災害が起きないとも限らない。大雨の音で夜中に目が覚め、完全な睡眠不足だったから、結果的にはこれで正解。ほかの仕事をやりながらだが、２６日と２７日に２カ所まとめて取材することになった。２度あることは３度ある、とならないことだけ祈りたい。