自然災害に少し慣らされてきた私たちだが、断水というのは経験が少ない。東日本大震災のときに一部地域で停電やガソリン不足はあったが、断水はほとんどなかったからである。しかも、今回の台風19号では福島県内だけで7万軒を超えており、給水車の援助が追いつかないほどだ。
阿武隈川が決壊した本宮市では、ある主婦が「水がないのはひどい。部屋の掃除も入浴も料理もできないんだから。電気は発電機とか代わりになるものがあるけど、断水がこんなに大変だとは思わなかった」とテレビで話していた。それが1日や2日なら何とか我慢できそうだが、1カ月近くも復旧の見通しが立たないとさすがに被災者が萎えてくるのも仕方がない。それほど水は貴重なものなのだ。
今回の台風では武蔵小杉のタワマンで起きた断水も問題になった。一種の都市災害だが、大きなビルやマンションは地下に電気系統や駐車場などを設置しているため、上の階にいる人は水を回す電力がないとトイレの用を足すにもエレベーターが使えない。いわき市の断水も停電が原因だから田舎がいいともいえないのだが、電気と水は両方あって初めてインフラが機能する。非常時にそのバックアップをどうするのか、防災の専門家にはしっかりと新しい対策を考えてもらいたい。
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