ERIC CLAPTON Live at Budokan 2019
2019/04/20
Open 16:00/ Start 17:00
ERIC CLAPTON〈G./ Vo.〉
CHRIS STAINTON〈Key.〉
DOYLE BRAMHALL II〈G./ Vo.〉
NATHAN EAST〈B.〉
PAUL CARRACK〈Key. / Vo.〉
SONNY EMORY〈Dr.〉
SHARON WHITE〈Back Vo.〉
KATIE KISSOON〈Back Vo.〉
[SETLIST]
Pretending
Key to the Highway (Charles Segar cover)
(I Wanna) Make Love to You (Bobby Womack cover)
I'm Your Hoochie Coochie Man (Willie Dixon cover)
I Shot the Sheriff (The Wailers cover)
Driftin' Blues (Johnny Moore’s Three Blazers cover)
Nobody Knows You When You're Down and Out (Jimmy Cox cover)
Tears in Heaven
Layla (Acoustic/ Derek and the Dominos song)
Running on Faith
Badge (Cream song)
Wonderful Tonight
Crossroads (Robert Johnson cover)
Little Queen of Spades (Robert Johnson cover)
Cocaine (J.J. Cale cover)
---encore---
High Time We Went (Joe Cocker cover)
僕はそれほど熱心なクラプトンの聴き手じゃない。それでも何かに引き寄せられるようにチケットに手を出してしまい、これで通算4度目の来日公演参加。
単に気が乗らなかったのか74歳の枯れた味わいなのか、55歳の若輩者にはわからなかった。それでもボワッと炎が上がる瞬間は何度かあった、ような気がする。たとえば…
I Wanna Make Love to You の溶岩が赤いしぶきを上げるかのようなソロ。
この曲まで渋くしちゃうの?と半ばウンザリしながらルーズなジャムに付き合っていたら、あの必殺のイントロが始まって一瞬で会場が沸いたI Shot the Sheriff!女性コーラスの使い方もクラプトンの歌い方も、ウェイラーズのバージョンに寄せてあって文句なし。
CrossroadsやLittle Queen of Spades ではけっこう最後まで諦めずに音を探して、鋭いフレーズを何度か響かせてくれた。
それにしても、Laylaがあの大っ嫌いなアコギバージョンだったのが返す返すも残念。ホント歴史から抹消すればいいんだよ、アンプラグドなんて!
それにTears in HeavenやWonderful Tonightの下世話な西欧ムード歌謡メロディ…ああいうセンスがどうにも好きになれなくて、イマイチ入れ込めないんだよな、クラプトン。まあロリー・ギャラガーもピーター・グリーンもこういうイヤらしさがあればもっと売れたんだろうけど。もちろん、それができなかったからこそ彼らが大好きなんだけど。
ああでも、Nobody Knows You When You’re Down And OutとRunning on Faithは別。前者にはストリートのにおいがするし、後者には涼しげな風が感じられるから。
そもそも20年くらい前から始まった“大人のロック”という売り方、オトナを意識しすぎてもはやじじむさいと感じているのは、僕だけ?Tシャツもなんかダサくて買う気しないし。
それにしても嫌いなところがこんなにあるのに、なぜCDを買ったり高いチケット代を払ってライブに行くんだろう?
それは、あの素晴らしいバンドサウンドを浴びたいから。
今回初めて存在を知ったドラマー、ソニー・エモリーはEW&Fやシックで叩いていた人らしい。タイトなドラミングはネイザン・イーストの重心の低いベースと好対照で、絡みもバッチリ。
クラプトンとは長年の盟友でもあるクリス・ステイントンの、英国風味豊かな硬質で透明感のあるピアノは今回もキラキラ跳ね回っていたし、もう1人のイングリッシュマン、ポール・キャラックはグルーヴィなオルガンでアンサンブルを支え、時に引っ張り、アンコールではソウルフルな歌声も披露してくれた。いつかのツアーのようにACE時代のHow Longも歌って欲しいし、もっと欲を言えばSQUEEZEの隠れた名曲Temptedなんかも聴いてみたい。
しかしなんと言っても一番新鮮だったのはドイル・ブラムホール・ザ・セカンド。デレク・トラックスと一緒だった時は奥に引っ込みがちだったけど今回はもうのびのび生き生き!熟練者の手なりでともすれば流れがちなバンドの音に絶妙なアクセントを加えていた。レフティならでは?の聴き手のハートを鷲掴みする粗くシャープな音色、独特の歪んだ低音は実に個性的だし(僕の嫌いな)Tears in Heavenにさえ、セミアコでペダルスティールのような音色を奏で、美しい色を添えていた。
クリームの解散とともに自己主張バトルを卒業し、ドミノズ以来素晴らしい仲間たちとの幸福な出会いを経て現在まで続いてきたクラプトンの音楽の旅。その現在地を披露するには十分すぎる名手揃いの一座、座長がちょっとくらい不調でもどうってことない。
今夜も、リズム隊のグルーヴをなぞるようにたどたどしく音を置いていくクラプトンの“不発”ぶりが、なんだかコンパクトなグレイトフル・デッドともいえる世界を作り出していて、それなりに気持ちよかった?
クラプトンを中心に彼らが作り出す芳醇な空間に身を置く贅沢な興奮、それを味わいたくてつい…
また是非来日して欲しいし、次はLet It RainやBehind the Maskなんかも聴いてみたい。
なんだかんだで楽しめたってこと?
サンキューEC!
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