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2020年04月03日06:10

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新型肺炎、パチンコ店への立ち入り自粛なされぬ理由

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
 3月30日、東京都の小池百合子知事は、緊急記者会見を開き、新型コロナウイルス対策として「接客を伴う飲食の場で感染を疑う事例が多発している。ナイトクラブやバーなどへの入店を当面、控えてほしい」と訴えました。とくに、若者や高齢者の出入りを控えてほしいとの要請です。
 すでに、経済活動の中止までは至らないものの、週末は不要不急の外出を控えることに加えて、平日はできるだけ自宅で仕事を行い、夜の外出を控えるように呼びかけています。予定がない外出や密閉された場所に出向くこと、人と接触するような行動や大人数で集まることは控えなければいけません。
「不要不急の外出自粛要請」でもパチンコ店に行列
 しかし、都知事の要請にも関わらず、「不要不急の外出自粛」は必ずしも守られませんでした。小池都知事や各自治体トップ、安倍首相も不要不急の外出自粛を呼びかけている中で、『サンデーモーニング』(TBS)で流れた28日(土)の繁華街の映像には、都内のパチンコ店で入店前に行列をなしている光景が見られました。
 銀座や原宿では人影が消えていましたが、パチンコ店の前に長蛇の列が出来ていたのです。3月20日〜22日の3連休で自粛ムードも緩んでいたのでしょうか。コロナ感染者数は日々最多更新をし続けていますが、今後さらに感染者数は増加するという予測をして番組は終了しました。
 不思議なことに、パチンコの問題に関しては誰も話題にしません。厚労省の指針によれば、「日中はできるだけ換気をする」「取っ手、ノブなどの共用する部分を消毒する」「感染者から少なくとも2m以上の距離を保つこと」が求められています。
 パチンコ店では、「換気の問題」「他人が触れたハンドルを握ること」「隣の座席が近い」という問題がありますが濃厚接触にはならないのでしょうか。
 行政や政治家がなぜ問題にしないのかとても不思議です。実は、パチンコ業界が多額の政治献金をおこなっていることはあまり知られていません。つまり、業界と政治家に何らかの関係があることが否定できません。
パチンコホールの業界団体に与野党国会議員計40名の「アドバイザー」
 大手パチンコホールで構成される「パチンコチェーンストア協会(PCSA)」という団体があります。この団体には、多くの国会議員が「政治分野アドバイザー」として名を連ねています。自由民主党・計22名(衆20名、参2名)、日本維新の会・計7名(衆4名、参3名)、国民民主党・計7名(衆5名、参2名)、立憲民主党・計4名(衆4名)という構成です。
(参考)http://www.pcsa.jp/member.htm
 企業活動、音楽や演劇など多くのイベントが自粛を求められています。パチンコだけの例外は認められるのでしょうか。パチンコは不要不急なのでしょうか? もし、安全なら所属議員は検証して結果を公表すべきです。
国民の不安を煽っても何も解決しない
 政府や都は、集団感染する恐れがある場所を次のように公表しました。「スポーツジム」「屋形船」「ビュツフェ」「ゲストハウス」「テント」「ライブハウス」「カラオケボックス」「雀荘」です。共通するのが「3密」(密閉、密集、密接)です。
・換気が悪い。
・人が密に集まって過ごすような空間。
・不特定多数が接触する恐れが高い場所。
 しかし、この中には、満員電車とパチンコは含まれていません。「時差出勤」や「テレワーク」を推進していますが、実際には満員電車が解消されているわけではありません。多くの政治家は公用車かタクシー通勤です。国民に自粛を強いても給与は満額支給され「満員電車」も知りません。そんな中で、3密を公表してもまったく説得力がありません。
 厚労省の研究では日本のギャンブル依存症の4割近くが高齢者という統計があります。多くのサラリーマンが定年後に大きな喪失感に陥ります。家庭での居場所や趣味、仲間も居ないという人たちが酒やギャンブルにのめり込んでしまうと言われているのです。
 3月6日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の早稲田夕希議員が、「リスクの低い学校は突然休校になり、対極にあるパチンコ屋は規制にならない」と、パチンコ店の休業について働きかけを考えるべきではないかと質問をおこないました。
 それに対し、武田良太国家公安委員会委員長は、休業要請など民間企業に介入することの難しさや、対策としてハンドルの消毒をおこなうことや、自主的に休業をしている店舗があることの答弁をおこないました。
(参考動画)Nth国会:
https://www.youtube.com/watch?v=1r0EoYf3_Jg(12分3秒過ぎ)
政治家は国民全体の利益を優先して考え行動すべき
 松下幸之助は『THE21 特別増刊号 松下幸之助の夢 2010年の日本』(1994年10月)のなかで、国会議員の基本的な条件を次のように述べています。
「自分のこと以上に国家国民の繁栄、平和、幸福を思う心がなければならないということ。どの党に属そうとも、党利党略にとらわれてはならないし、どのような団体から推されて議員になろうとも、その団体の利害に左右されてはならない。あくまで、国民全体の利益を優先して考え行動する。その意味で、『一人一党』でなければならない」
 まさに正論だと思います。しかしながら、現在の政治家の振る舞いを見ていると、大口の献金者の利益を優先させているように見えてなりません。ひいてはそれが、国民の健康や安全を危険にさらすことに繋がってはいないでしょうか。
 現在は、新型コロナウイルスに感染しないことと同時に、もしも自分が感染しても他人にうつさないことが大切です。感染しても無症状の人もいるので、誰もが「もしかしたら自分は感染者かもしれない。誰かと接触したり人込みに入ったりしたら、他人にうつしてしまう可能性がある」と考えて行動しなければならないのです。
 しかし、先週、「週刊ポスト」が、首相夫人に昭恵さんが仲間と桜をバックに笑顔で収まっている集合写真を報じましたが、この行為はいかがなものでしょうか。国や都が実質的な外出禁止、宴会などの自粛を要請するなかで、世論はどう受け止めたのでしょうか。首相や都知事の、私たちに対する「要請」も、どこか白々しく聞こえてしまいます。
 首相や都知事が緊急記者会見と称して国民の不安を煽るだけでは何も解決しません。支持者や大口献金者の利益を優先するようなことなく、科学的知見に基づいた対策こそが求められています。いまこそ、政治家の叡智を発揮してほしいと思います。
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