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2019年10月23日07:00

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混乱続く日産 “西川前社長が抜擢したCIO”が「会社資金を自身の選挙対策に利用」か?

 日産自動車は10月8日、内部規定に違反する報酬の不正かさ上げをしていた責任を取って辞任した西川廣人社長兼CEOの後任に、内田誠専務を昇格させる人事を決めた。同時に最高執行責任者(COO)にルノー出身で現三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏を、副COOに日産で経営再建のための中期経営改革推進を担当する関潤専務をそれぞれ昇格させることも決定。人事は遅くとも来年1月1日までに実施される。
 これらのトップ人事は、社外取締役中心に構成される指名委員会で決めた。日産は今年6月の株主総会を経て、社外取締役が過半数を占める指名委員会等設置会社に移行している。取締役会議長の木村康氏(元JXTGホールディングス会長)と指名委員会委員長の豊田正和氏(元経済産業審議官)が記者会見して新体制を発表した。今後は、3人の集団指導体制になる見通しだ。

コピーライト 文春オンライン 横浜市の日産本社 コピーライトiStock.com
営業利益が99%減、全従業員の10%をリストラ
 ルノーとの共同購買プロジェクトを担当した内田氏をトップに据え、ナンバー2にはルノー出身のグプタ氏を置いたことから、カルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、日仏両国政府を巻き込んでぎくしゃくしていた日産とルノーの関係を元の友好的なものに戻し、アライアンスを再び軌道に乗せていこうという考えがうかがえる。
 ルノー側も10月11日に開催した臨時取締役会で、ティエリー・ボロレCEOの解任を決めた。ボロレ氏はゴーン氏に近かったことや、ジャンドミニク・スナール会長との間で主導権を争い、両者の関係が悪化したことなどから解任に至ったと見られる。
 いずれにせよ、今後は日産、ルノーとも新体制の下で三菱自動車を含めた3社アライアンスを推進していくことになるが、直近の大きな課題は日産の業績立て直しだ。日産が今年7月25日に発表した第1・四半期(4〜6月)の決算では、営業利益が前年同期比99%減の16億円にまで落ち込み、いつ赤字に転落してもおかしくない状況だ。世界の14工場で閉鎖も含めた生産能力を縮小し、全従業員の約10%に当たる1万2500人を削減するリストラも展開している。
 日産は早期の立て直しを目論むが、主要市場である米国と中国は減速気味であり、再建は容易ではない。特に日産の業績落ち込みの主要因は、ゴーン氏の拡大路線の失敗にある。氏は台数の拡大のみを目指して新興国への投資を優先し、新車開発への投資を抑制してきた。これが響いて、日産のクルマの商品としての魅力が低下、値引きしないと売れない状態になり、経営を圧迫している。一般的に新車開発には4〜5年かかることから、短期間で再建できない可能性もある。
 自動車メーカーは、開発、生産、購買、営業、アフターサービスなど様々な部署が関わって製品とサービスを売っている。ワールドカップが日本で開催され、オールジャパンの活躍によって盛り上がるラグビーのように、チームワークやチームを構成する社員らの士気がものをいう世界でもある。しかし、今の日産では、その社員らの士気が大きく下がっている。
北米データセンターの停電は「人災」だった
 今年8月、日産の北米データセンターが停電したことで工場運営のシステムがダウンし、テネシー州やメキシコにある工場で生産ラインが停止したほか、部品調達や給与支払いのシステムまでも止まってしまう一大事が起こった。北米は日産にとって最重要収益源。現在は、安売りで毀損したブランドイメージを立て直すために必死のリカバリー戦略が展開されている矢先に躓いた。
 この停電の理由について日産幹部が打ち明けた。
「システム投資を怠ってきたからです。通常、データセンターにはバックアップ電源があり、不慮の事態に対応できるシステムになっていますが、それすら対応できていなかった。予防保全が充分になされていなかったわけです」
 その幹部に投資を怠ってきた理由を聞くと、これはもはや「人災」に近い。
「日産ではシステム投資を年間に200億円程度使っていますが、そのうち約半分をインドにつぎ込んでいます。これには理由があり、インド人のトニー・トーマス常務が自分の故郷であるケララ州に『デジタル・ハブ』を強引に設立したことで、他の仕事に全くお金が回らない状況になりました」
 インドにはチェンナイ(タミル・ナードゥ州)などにデジタルセンターがあり、ケララ州への新設は不要な投資と日産社内では見られている。ケララ州への投資の理由は「トーマス氏が同州への州知事選挙への立候補を予定しており、その選挙対策として日産の資金を活用しているのではないか、と社内では指摘され始めている」(同前)そうだ。
日産幹部が明かした「偽装出向」の実態
 このトーマス氏は17年10月にゼネラル・エレクトリックから日産に入社し、すぐに常務執行役員兼CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)に就任した。西川氏は17年4月に社長兼CEOに就任しているので、日産社内では「西川氏が採用して抜擢した人物」(同前)と言われている。
 日本人幹部がトーマス氏にインド以外への投資などシステム予算利用の正常化を訴えると、こうした幹部は左遷や降格の憂き目にあっているという。トーマス氏が統括するのは日産社内では「グローバルIS・IT部門」と呼ばれ、日本には約350人の社員がいるが、こうした実態を嫌忌してこの2年間で50人ほどの日本人が退社したという。
 そして、トーマス氏は側近を破格の待遇で迎えたイエスマンの5人の部長級外国人で固めているという。その5人は社内ルールに逸脱する形で高額な報酬と破格の福利厚生の待遇を得ているそうだ。この実態は内部でも「偽装出向」と呼ばれている。
「偽装出向」について、前出・幹部はこう説明する。
「日本で採用したのに、勤務実態のない北米日産やインド日産からの出向扱いにしている。海外からの出向扱いだと給料が約1・5倍になり、役員ではなくても家賃が50万円のタワーマンションにも住めて、クルマの送迎が付く」
「最もモラルが低い部署になってしまった」
 こうした幹部は周囲から見る限り何の仕事をしているかも不明で、毎日午後5時頃には帰宅してしまうことが多いという。「この実情を見て多くの社員がやる気を失い、IS・IT部門は社内で最もモラルが低い部署になってしまった」とその幹部は嘆く。
 このIS・IT部門は、コネクテッドカーなど次世代技術開発とも深くかかわっている。たとえば日産の電気自動車「リーフ」はすべて無線で、日産のデータセンターとつながっており、いつ充電したか、電池のいたみ具合はどうかといった状況がリアルに吸い上げられ、次の開発に生かされるようになっている。ビッグデータとクルマを融合させて、新しいサービス・技術を生み出していく時代に、データセンターを運営するIS・IT部門は「裏方」として重要な責務を果たしている。こうした部署のモラルが低くなっているとすれば、商品開発面への影響も否定できない。
「強欲経営」の企業風土を改善できるか?
 実はこうした外国人はIS・IT部門だけではない。他の部署にもルノーや日産の海外法人から日本の本社に出向してきて、役員でもないのに役員並の待遇を受け、月の家賃が100万円を超えるところに住んでいる者もいるという。
 別の日産幹部はこう語る。
「出向にもかかわらず、給料は日本の本社が支払い、1人当たりの総労務費が5000万円から1億円かかる」
 彼らが成果を出しているなら問題はない。だが、成果を出さないまま2〜3年で帰国するのが実態だ。その一方で、少し控えめでアピール力が低かったり、病欠明けの日本人の年収が約1000万円で福利厚生を含めた総労務費が2000万円程度でもすぐにリストラの対象になり、早期退職を促される。
 日産の日本人社員らの士気が下がる大きな理由は、ゴーン氏が支配した約20年間、外国人の経営幹部とそれに媚びを売る一部の日本人経営者だけが莫大な利得を得る「強欲経営」の企業風土が日産に染み付いたからだ。
 新社長になる内田氏や新COOのグプタ氏、新副COOの関氏ら経営陣はこうした体質を改めることから取り掛からなければならない。
「文藝春秋」11月号 の「日産・西川前社長 重大疑惑はまだある」では、日産社内の実態に加え、事実上解任された西川氏にいまだ残る疑惑の詳細を報じ、「クーデター」によってゴーン氏を放逐した西川氏の「強欲」ぶりと、ゴーン氏と「同じ穴の狢」だった実態について詳述している。
(井上 久男/文藝春秋 2019年11月号)



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