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2019年08月20日23:19

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「数字を持っているから叩きます」N国党・立花孝志党首の本当の恐ろしさは“緻密な戦略”にある

「私のような人間が当選するのは、あまり好ましい事ではないと思っている。いわゆる潰すとか、スクラップする人間。でも多くの方が、NHKの問題に関心を持たれた。私が一旦NHKを潰すことによって、新しいものを作っていく事を国民の多くが望まれたのだと思っています」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見 )
国政政党として「NHKをぶっ壊す!」
 2019年7月の参院選で「NHKから国民を守る党」(N国党)は1議席を獲得。地方議会にはすでに28議席を当選させていたN国党は、政党要件も満たし晴れて国政政党となった。その後、元日本維新の会の丸山穂高衆議院議員が入党し、旧みんなの党代表の渡辺喜美参議院議員とは統一会派を組むなど、「NHKをぶっ壊す!」べくさらに党勢を拡大させている。
 また、N国党・立花孝志党首は、マスコミ・芸能人への攻撃も始め、「ぶっ壊す!」の対象はNHK以外にも拡大の様相を呈している。

コピーライト 文春オンライン 初登院した立花孝志参議院議員 コピーライトAFLO
「泡沫候補」としても規格外だった
「5年前は、選挙に勝ちたいというよこしまな気持ちがあった」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
 選挙において、組織の応援がなく、当選の見込みのない候補者のことを、泡のように消え去る「泡沫(ほうまつ)候補」と呼ぶ。代表的な泡沫候補としては、スマイル党マック赤坂氏がいた(2019年4月に当選し、現在は東京都港区議会議員)。
 私は2013年に公開したドキュメンタリー、『映画「立候補」』の制作過程において、マック赤坂氏を中心に多くの泡沫候補を取材した。その経験から言っても、N国党・立花党首は規格外の「泡沫候補」だった。
 私が定義する普通の「泡沫候補」とは、『政治に不満があり、投票先が見当たらず、自分が立候補できることに気づいた人』だ。泡沫候補は、自分の政治に対する思いに純粋であるがゆえに立候補した人たちなので、すべての政治家を敵視し、仲間を作れない。もし仲間が作れる程度の思いなら、既成政党に入るか投票するかで終わる。
あるのは「政治への不満」ではなく「NHKへの不満」だけ
 しかし、立花氏は「政治への不満」ではなく、「NHKへの不満」から立候補した。それは「NHKから国民を守る党」という政党名からも一目瞭然だ。この政党名から、NHK以外の事をしてくれる党だと思う人はおそらくいないだろう。彼は「政治への不満」がないからこそ、細かい政治信条は無視して政治家を「数」として捉え、「NHKをぶっ壊す!」ことに向けて仲間を作ることができた。
 細かい政治信条を気にしないなら、懇意にしている政治家への投票でも良い気がする。しかし、彼はたびたび間接民主主義の限界を訴えている。既存の政治家に「NHKへの不満」を託しても、その不満は解消されなかったという、立花氏なりの「政治への絶望」が根底にあるのだと思う。実際、2012年に立花氏はマニフェスト不履行で野田元首相を裁判に訴えている(1審・2審ともに棄却)。
「私は直接民主主義がベストとは思わないが、ベターだと思っている」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
落選を見越した緻密な選挙戦略
 もう一つ、立花氏が規格外の「泡沫候補」だった、大きなポイントがある。それは2013年のN国党の結党時から、具体的に落選も含めた選挙戦略を考えていたことだ。
 当たり前だが、普通の「泡沫候補」は、当選したい選挙に立候補する。有名人やプロの政治家のように、落下傘で当選しそうな地方選挙に立候補し、実績を作ったら国政へ転身というテクニックは用いない。しかし彼はそのテクニックを最初から計画・実行していた。
「立花さんは最初から『私の目標は6年後の参院選で1議席取ること。そのために今から参院選までのすべての選挙スケジュールを調べています』と言っていました。選挙に初めて立候補し、落選した直後ぐらいの時ですよ。変な事言うなと思っていました。でもその2年後に、船橋市議選で当選したんです。そして1年で市議を辞めて、東京都知事選に立候補しました」(フリーランスライター・畠山理仁さん)
「僕にあるのは選挙のテクニックだけ」
 立花氏は自分なりに選挙を数値化・研究し、それが正しいか実践した。例えば供託金300万円を払って話題になる奇抜な政見放送をやり、知名度を上げてから当選確率の高い選挙に立候補した。他の立候補者への研究も熱心で、2014年の大阪市長選挙ではマック赤坂氏の選挙ボランティアにも参加している。
「僕にあるのは選挙のテクニックだけ。(中略)選挙は数字。実は少数派でも当選する方法がある」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
優秀な経理マンとして重宝されたNHK職員時代
「正直ものがバカをみない日本にしたい。戻したい」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見) 
 元NHK職員の立花氏は、とにかく正直さにこだわってきた。1986年のNHK入局試験では「我が家は受信料を払っていません」と正直に言って採用された。そんなNHKに忠誠を誓った立花氏は、優秀な経理マンとして現場スタッフから重宝され、東京本社のスポーツ報道センターへ異動となる。
「一度だけソルトレイク・オリンピックで経理をしていた彼と接点がありました。普通の経理は、この領収書は落とせませんとだけ言うんです。でも彼はこの方法なら落とせますよと言ってきた。今の時代にもこんな人がいるのかと不思議に思った」(元NHK記者・ジャーナリスト立岩陽一郎さん)
 2005年4月、立花氏はNHKのオリンピック不正経理を週刊文春に実名顔写真入りで内部告発、19年間勤めたNHKを依願退職した。
「内部告発したら、全員電話に出なくなった。廊下ですれ違っても話もしてくれない。辞めざるを得ない状態。38歳のとき僕が放った文春砲は不発だった」(立花孝志・2018年8月14日配信 「 立花孝志51歳の過去と未来について 」)
退職後は月100万を稼ぐパチプロに
 NHK退職後の立花氏は、パチンコの出玉と確率を数値化し、夫婦で月100万円を稼ぐパチプロとなった。バカを見た正直者は、金と数字とギャンブルに滅法強かった。
「娘には、パパはNHKに勝つためにパチンコで勝てる能力があるんだと言った」(立花孝志・2018年8月14日配信 「立花孝志51歳の過去と未来について」)
すでに世の中は立花氏の考える方へと流され始めている
「我々政治家の多数決ではなく、国民の多数決にすればNHKのスクランブル放送は多数派になると確信してます」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
 立花氏はNHKのスクランブル放送(「WOWOW」のように、自ら受信料を払った契約者のみが放送を見られるようにする方式)を目指し、今後も二の矢・三の矢を放つだろう。それに対し我々は、対岸の火事を見るかのように眺め続けるはずだ。なぜなら、これは一番重要なことだが、NHKの受信料を喜んで払う人は誰もいないのだから。
 NHKは立花氏に対して一刻も早く対抗策を打ち出さないと、大変なことになるだろう。2005年とは違い、スマホで覗き込むインターネットがメディアパワーを持っている。すでに世の中は立花氏の考える方へと流され始めている。
「私が職員をしていたころ、NHKに対する不満は3つだけだった。1つ目は大阪府知事と一緒で、あそこが払ってないなら私も払わない。2つ目は見ていない。3つ目は番組内容が嫌い。今は4つ目、”集金人が怖い”が追加されている」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
「数字を持っているから叩きます」
 彼は現在、マツコ・デラックスさんに対しMXテレビで出待ちをするなど、ストーカーのような攻撃をしている。それに対し「政治家として品がない」などと批判が起きている(皮肉なことにMX テレビは、2004年のNHK制作費着服疑惑で責任追及された海老沢元NHK会長の国会参考人招致を生中継した、唯一のテレビ局である)。
 “頭の良い”彼がなぜあそこまで絡むのだろうか。何か狙いがあるのではないか――。正直者はYouTubeチャンネルで本当の理由を語っている。
「マツコ・デラックスは数字を持っているから叩きます」(立花孝志・2019年8月8日配信 「 マツコデラックスの批判しますが【元国会議員の薄毛】や【愛人から側室のBBA】や【頭の悪いロンゲのにーちゃん】は相手しません 」) 
立花孝志党首は恐ろしい政治家だ
 立花氏はすでに次の衆議院選挙を見据えている。彼が問題視されればされるほど、何が起こるか。次の国政選挙では、各政党が「NHKをぶっ壊すのか否か」に触れざるを得ない状況が作り出されるだろう。N国党・立花氏に反対する世論が、他の政党のマニフェストに伝播する。「N国党の政策は許さない!私たちはNHKスクランブル放送に反対します!」。もしもこんなマニフェストが登場すれば、彼にとってはほぼ勝利なのだ。
 おそらく彼は『「NHKから国民を守る党」から守る党』の出現を心待ちにしているだろう。早くNHKの日曜討論で「NHKをぶっ壊さない!」と言う人が現れてほしいと願っている。そろそろ気づいた方が良い。N国党・立花孝志党首は恐ろしい政治家だ。
「NHKをぶっ壊す!」と入力された“AI”
 こんなたとえ話がある。「円周率π(パイ)の正確な数値を出せと入力されたAI が、人類を滅ぼし、地球を乗っ取り、宇宙全体を巨大なコンピューターに変え、πを無限に計算し始めた」
 一見何でもない目標でも、それを追求する方法は無限にある。人知を超えたAIが制御不能となれば、誰も望まない結果になる可能性がある(参考文献:『ホモ・デウス』ユヴァル・ノア・ハラリ著)。
 私は、立花氏にこのAIと同じ恐怖を感じる。入力された目的は「NHKをぶっ壊す!」。今までは、その目的に至る手段が、「憲法」と「法律」と「判例」によって制御されていた。しかし現在、その手段を制御していた「法律」を変え、「憲法」改正の発議に投票できる立場に、彼は辿り着いている。
「正直早く辞めたい。できるだけ早く。ぼくはスクランブル放送を実現できたら辞めると宣言してます」(立花孝志・2019年8月2日 日本外国特派員協会・記者会見)
(藤岡 利充)
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