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2018年08月17日00:56

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星のクライマー 植村直巳

昨年、散歩の延長で尾瀬ヶ原や白神山地を歩いてから、山歩きが好きになり、地元の低い山にはソロトレッキングに行くようになりました。山の上、特に高い山の上には、手付かずの自然や険しい岩肌、高山植物や希少動物がみられ、日常の世界とは別世界が広がっています。

そんな世界の素晴らしさに惹かれるようになって、昔よく聴いていた麗美の『星のクライマー』という曲を思い出しました。この曲は、私は最近やっと知ったのですが、日本人初のエベレスト登頂をふくめ、世界で初めて五大陸最高峰に登頂し、76年に2年がかりの北極圏1万2000キロの単独犬ぞり旅を達成、78年には犬ぞりでの北極点単独行とグリーンランド縦断に成功した世界的冒険家、植村直己さんが、84年2月、北米マッキンリーに冬期単独登頂後、消息を絶ったことを題材に、彼を待つ女性(妻)の視点から書かれたと言われています。

1984年2月12日、植村直己さんは、自身の43歳の誕生日を祝うかの如く、アラスカにある北米大陸最高峰のマッキンリー(6194m)の世界初の厳冬期の登頂を達成しました。

マッキンリーは、極北に近いため冬季は氷点下50度以下、風速50メートル以上(時には、風速100メートル)の暴風雪が吹き荒れるといいます。そのような過酷な山に植村直己さんは向かい、登頂を果たします。

その翌日の2月13日に植村直己さんは支援のチャーター機との交信
で、登頂を報告します。
植村:
「えー、昨日午後7時10分前、マッキンリーの頂上に立ちました。」
チャーター機:
「おめでとうございます。現在の位置を教えてください。」
植村:
「私がいるのは、サウスピークからトラバースして・・・標高・・・20000フィート・・・ガガー(雑音)」
チャーター機:
「よく聞き取れません。もう一度お願いします。」
植村:
「ガガー、ガガー・・・・(交信途絶)」


そして、この日を最後に
植村直己さんとの交信は途絶え、大冒険家の植村直己がマッキンリーに消えました。

植村直巳さんは奥さんによく手紙を書いていたそうです。究極の孤独に身をおきながら、奥さんへの愛が支えになっていた、、、なかなか理解しがたい世界ですが、ユーミンの詞はその世界を表しています。麗美の作曲も素晴らしいです。この曲は彼の失踪後すぐの84年にリリースされています。

作詞:松任谷由実
作曲:REIMY
編曲:松任谷正隆 
オリジナル・アーティスト(1984):麗美

あなたは冬のクライマー
煌く下界は蜃気楼
ひきずる足跡を おり風が消してゆくよ

あなたは日記をつける
観客のいない試合の
鳴り叫ぶテントで 恋しいひとを想う

夜明けの月と 昇る太陽
両手に抱く場所 夢見て眠る

あなたは星のクライマー
氷河をたどる巡礼者
クレバスの向うに誰の姿を見たの

あなたは祈りをつづる
読まれることのない手紙
地球が終わるまで 溶けぬ根雪の中に

大きな虹と 続く雲海
静かな明日を 夢見て眠る

あなたは星のクライマー
ザイルを空にかけたの
輝く頂に誰の姿を見たの
輝く頂に誰の姿を見たの

『観客のいない試合』とは、大自然と自分との戦いのことなんでしょうか。
『地球が終わるまで、溶けぬ根雪の中に』残した『読まれぬことのない手紙』とは今もクレバスのなかに眠っている植村自身のことでしょうか。

最近彼の著書『青春を山に賭けて (文春文庫) 』を読み始めたところです。






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