どうも、しがないがん専門医です。
白血病は病型によりますが治ります。
ただ、以前私の日記であげたがん治療の考え方にも書きましたが
白血病の治療目的は根治なので、抗がん剤はとても激烈です。
白血病発症は突然で、急いで抗がん剤を始めないと死にます。
以前MDSの日記(白血病の前段階)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1965839041&owner_id=64471675
病歴からは、おそらく急性骨髄性白血病と思います。(遺伝子型までは想像はできませんが…)
CMLは珍しいので少ないと思います。
私も10代の患者を多数担当していましたが、最初は驚きこそすれ実は本人の受け入れは比較的良いです。
家族の方が最初はしんどく迷惑です。
本人が病気と向き合うことを大変な事だと悲観的にさせます。
で、問題はここから
そこから本人に、
徐々に病識が湧きます。
抗がん剤を打たないと死ぬので恐らく彼女の場合は即入院で翌日には寛解導入療法という血液内のがん細胞がほぼいなくなる状態まで叩く治療を初めているはずです。
ここで、がん細胞の染色体異常にもよりますが、地固めするのか移植までいくのか決まります。
移植は致死率20%以上の治療になります。
20%の確率で治療で死にますが治る確率50%です。
何もしなければ100%死にます。
やりますか?
やりませんか?
その世界です。
患者やその家族は当然治療を選ぶ人が多いです。
ただ、彼女は今後不妊症など女性特有の悩みも抱えますし、今までの様な世界一のトップアスリートを維持するのも不可能でしょう。
生きてるだけで丸儲け
よくそんな言葉を耳にしますが
18歳の女の子にそれは酷な話です。
厳しいかもしれませんが
私の経験上、期待を持たせ過ぎると鬱になります。
よくネットでは
頑張ってね。
大丈夫だよ。
なんて優しい言葉見ますがそんなのは気休めです。
その言葉が、もし良くならなかった場合に本人の絶望に変わります。
マスコミはそっとしておくべきと思います。
白血病は命がけです。
体からカビがはえるほど免疫力が落ちるので無菌室で過ごしますし、熱が出たら発熱性好中球減少症といって毎度致死的な感染症との戦いもあります。
移植が始まるとGVHDという拒絶反応が起こったり、拒絶反応を起こさない様に免疫抑制剤をいれるとサイトメガロウイルスなどの感染症が悪さしたり。
その治療のための抗ウイルス薬に逆に骨髄抑制作用があり逆に免疫が落ちるなど
まさに踏んだり蹴ったりの状態になることもあります。
移植もハプロの移植もあるのでわざと拒絶反応起こさせる治療もあり
とても
簡単に治るもんじゃないです。
私は18歳の女の子の患者を持っていました。
3年に及ぶ厳しい治療の末(再発もあった。)
彼女は白血病を克服しました。
女の子『先生本当にありがとう。絶対治すけん。(再発させないという意味)』
そういって退院していきました。
しかし、彼女が定期外来に来ず病院から連絡を取ったら彼女が自殺をした事を知りました。
輝かしい明日という言葉に希望を持ち
明日に向かった彼女は
輝かしい日々を謳歌する友人達と
その、大切な時間を浦島太郎の様に過ごしてしまった彼女には
とても酷なものだったのでしょう。
期待が大きい分人は絶望します。
感じ方は人それぞれですが、今回の報道やコメントにマオさんの時に感じた違和感を私は感じています。
彼女のInduction therapyが上手くいく事を願っています。
競泳女子の池江璃花子がツイッターで白血病を告白
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=5494743
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