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2017年02月21日22:11

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NHKスペシャル『STAP細胞 不正の深層』の「人間失格」

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http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/8754229.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958813010&owner_id=6445842
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/899.html





NHKスペシャル『STAP細胞 不正の深層』の「人間失格」




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 NHKはなぜこのような取材対象者にけがまで負わせるような取材をしたのだろうか。当時は社会的空気として、小保方氏は犯罪者であり、そのくらいのことはしてみかまわないという雰囲気が充満していた。『あの日』にはそうしたことが繰り返し書かれている。1994年の松本サリン事件で、第一通報者の河野義行氏に対して、警察のリークに全マスコミが「あたかも河野義行が犯人であるとの前提」で報道を行い、後に報道被害を与えたものとして大きな問題になったことを忘れてしまったのだろうか。

(渋谷一郎(著)「STAP細胞は何故潰されたのか」(ビジネス社・2016年)186ページ)


https://www.amazon.co.jp/STAP%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%BD%B0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-~%E5%B0%8F%E4%BF%9D%E6%96%B9%E6%99%B4%E5%AD%90%E3%80%8E%E3%81%82%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8F%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F~-%E6%B8%8B%E8%B0%B7-%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4828418725/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1486949200&sr=8-1&keywords=%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E4%B8%80%E9%83%8E


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1.BPOのNHK批判



 呆れて物が言へない。
 2月10日(金)、BPO(放送倫理・番組向上機構)が、或る判断を下した。それは、3年前にNHKが放送したNHKスペシャル『調査報道 STAP細胞 不正の深層』(2014年7月27日放送)についての判断である。
BPOは、この番組について、「名誉棄損の人権侵害が認められる」として、NHKに対して、再発防止に努めるよう勧告を行なった。
 この勧告は、元理化学研究所研究員・小保方晴子さんが、この番組について、人権を侵害された、と申し立てた事に対するBPOの結論である。BPOの放送人権委員会は、同日、3年前に放送されたこのNHKスペシャルの一部において、「場面転換などへの配慮を欠いたという編集上の問題があり、小保方氏が元留学生作製のES細胞を不正行為により入手して混入し、STAP細胞を作製した疑惑があると受け取られる内容になっている」とし、「名誉棄損の人権侵害が認められる」と結論ずけている。
 BPOのこの結論に対し、小保方さんは、弁護士の三木秀夫氏を通じて、次の様なコメントを出した。


「NHKスペシャルから私が受けた名誉毀損の人権侵害や放送倫理上の問題点などを正当に認定していただいたことをBPOに感謝しております。国を代表する放送機関であるNHKから人権侵害にあたる番組を放送され、このような申し立てが必要となったことは非常に残念なことでした。本NHKスペシャルの放送が私の人生に及ぼした影響は一生消えるものではありません。(2017年2月10日 小保方 晴子)」


 ところが、NHKは、これに対して、以下に述べるような「反論」を行なった。(後述)この記事を書くにあたって、私は、本当は、BPOの発表の全文とNHKのコメントの全文を読者に紹介したいと思ったが、紙面の制約から難しいので、番組の問題部分の核心についてのみ、要約の形で論じる事をお許しいただきたい。BPOの発表とそれに対するNHKのコメントは、インターネットで全文を読めるので、是非、読者の皆さんは、自分で読んで頂きたいが、私は、そのNHKのコメント(反論)を読んで、本当に呆れて物が言へない気持ちである、



2.STAP細胞は、本当にES細胞だったのか?



 理研は、小保方晴子さんが、若山照彦教授や故・笹井芳樹氏らと共同で発表したSTAP細胞なる細胞は、ES細胞であった可能性が高いと結論ずけた。そして、マスコミは、理研のこの見解が、この問題の「結論」であるかのような報道を行ない、小保方さんを「犯罪者」扱いしたまま、この問題を「収束」させた。しかし、小保方さんは、引き下がらなかった。小保方さんは、『あの日』を出版し、小保方さんが「ES細胞を使ってSTAP細胞の存在をでっち上げた」ような印象を作り出した若山照彦教授や毎日新聞社の須田桃子さんらの主張に具体的な事実を挙げて詳細な反論を展開した。それに対して、若山照彦教授も、小保方さんを批判した毎日新聞社の須田桃子さんも、沈黙を守っている。
 STAP細胞の実在性については、「再現されなかった」と言うが、再現されなかったのは、実験の後半部分である細胞からキメラを作製する段階などである。そして、このキメラ形成は、小保方さんではなく、若山照彦教授が担当した部分である。その部分について、若山教授が再現事件をしないと言うので、他の理研職員が作製を試みたがうまく行かなかったのである。一方、小保方さんは、自分が担当した実験の前半部分については、実験を再現している。それなのに、若山教授の担当した部分に再現性が得られなかった事まで小保方さんへの「疑惑」の理由にされているのである。
 更に、そのSTAP細胞が存在するかどうかについては、その後、同じ実験ではないが、解釈によっては、STAP細胞に似た細胞とも取れるiMuSCsと言う細胞の作製が、ネイチャー誌の姉妹誌であるオンライン専用媒体Nature.com SCIENTIFIC REPORTS の2015年11月号で掲載され、関心を集めている。
 科学史を振り返れば、がん遺伝子(オンコジーン)の存在も、最初の報告が為された1969年から10年後の1979年にようやく確認されている。そうした事を知れば、発表からわずか3年しか経っていない現在、若山教授の実験(キメラ作製)が再現されなかったと言う理由で、小保方さんの科学的主張を全否定する事も、ましてや小保方さんをペテン師呼ばわりする事も不当な事である事を読者は、理解されないであろうか?しかし、それでも、STAP細胞が存在するかどうかは、高度に専門的な科学上の問題である。従って、この記事においては論じない。ここでは、上述のNHKスペシャルについてのみ論じる。



3.Nスペ『STAP細胞 不正の深層』は何を報じたか




 ここで論じているNHKスペシャル『STAP細胞 不正の深層』(2014年7月27日放送)の内容を、この問題を追い続ける佐藤貴彦氏は、こう要約している。



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 かつてネットの掲示板、2ちゃんねる(6月18日)に次のような怪文書が載せられ話題になった。

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   小保方が引越しのどさくさに若山のところから盗んだ細胞が箱ごと発見されたことも公表しろよ。丹羽のTSもたくさん出てきただろ。

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 NHKの取材は、この2ちゃんねるの怪文書の内容を裏付ける形となった。しかし、注意してほしい。ここでは、「小保方がどさくさに盗んだ」となっている。
 若山研の引越しは2013年以降である。この時点では、すでにSTAP細胞作製の実験はほぼ終了している。若山氏と小保方氏がキメラマウスの作製に成功したのは2011年11月であるから、実験が終った後にES細胞を盗んでも意味がない。捏造に用いることは不可能なのである。
 ただ、NHKの番組では「引越しのどさくさに盗んだ」とまでは言っていない。しかし、「小保方氏が引越しのどさくさに留学生のES細胞を盗んだ」というこの話は、この後も小保方氏が告発されるネタとして用いられている。出所が同じ話であることは間違いない。
 また、この番組では、きわめて紛らわしい編集がなされている。すなわち、この番組では、(1)STAP細胞にアクロシンGFPが組み込まれていた。(2)若山研では、アクロシンGFPを組み込んだES細胞がつくられていた。(3)留学生の作ったES細胞が小保方氏の冷凍庫から見つかった。−−−という話が順番に述べられている。したがって、この番組の流れからすれば、「アクロシンGFPの入ったES細胞=留学生の作製したES細胞」であるかと想像した視聴者は多かったであろうと思われる。ところが、後になってわかることだが、留学生の作製したES細胞は、STAP細胞の捏造に用いられたとされるアクロシンES細胞とは何の関係もなかったのである。
 STAP細胞にアクロシンGFPが組み込まれていたことを述べておいて、その後にアクロシンの組み込まれていないES細胞が小保方氏の冷蔵庫に見つかったことをことさら問題にするという番組の編集の仕方は、かなり不自然に感じられる。STAP細胞実験とは何の関係もないES細胞のことを追及したところで、なんら事件解決の役には立たないからである。
 

(佐藤貴彦(著)『STAP細胞 残された謎』(パレード・2015年)22〜23ページ)
http://www.amazon.co.jp/STAP%E7%B4%B0%E8%83%9E-%E6%AE%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%AC%8E-Parade-books-%E4%BD%90%E8%97%A4%E8%B2%B4%E5%BD%A6/dp/4434212273/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1452562919&sr=8-2&keywords=%E4%BD%90%E8%97%A4%E8%B2%B4%E5%BD%A6


佐藤貴彦(さとうたかひこ)名古屋大学理学部卒 著書:『ラカンの量子力学』など

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 おわかり頂けるだろうか?これが、天下のNHKがやった「報道」である。編集によって、若山研究室に居た中国人元研究員が、小保方さんの「犯行」を裏ずける「証言」をしたかのような印象を作り出し、事件が進むさ中に、全国に放送したのである。
 当然と言うべきだろう。この番組のこうした手法を、BPOは、今回、次のように批判した。


「本件放送は、STAP細胞の正体はES細胞である可能性が高いこと、また、そのES細胞は、若山研究室の元留学生が作製し、申立人の研究室で使われる冷蔵庫に保管されていたものであって、これを申立人が何らかの不正手段によって混入してSTAP細胞を作製した疑惑があるとする事実等を摘示するものとなっている。これについては真実性・相当性が認められず、名誉棄損の人権侵害が認められる。」(BPO2017年2月10日)

 お読みの通りである。BPOの今回のこの判断は、上に引用した佐藤貴彦氏の批判とほぼ同じ批判である。天下のNHKが、こうして、BPOの批判を受けたのである。



4.NHKの居直り




 ところが、BPOのこの批判に対して、NHKは、次のように反駁した。


「放送人権委員会の判断の中で指摘された元留学生の作製したES細胞をめぐるシーンは、(1)小保方研究室の冷蔵庫から元留学生のES細胞が見つかったという事実、(2)小保方氏側は、保存していたES細胞について、「若山研究室から譲与された」と説明しているという事実、(3)一方、ES細胞を作製した元留学生にインタビューしたところ、小保方研究室の冷蔵庫から見つかったことに驚き、自分が渡したことはないと証言しているという事実を踏まえて、なぜこのES細胞が小保方研究室から見つかったのか、疑問に答えて欲しいとコメントしたものです。放送人権委員会が指摘しているような「小保方氏が、元留学生作製のES細胞を不正行為により入手し、STAP細胞を作製した疑惑がある」という内容にはなっていません。」(NHKのコメント)


 「開いた口が塞がらない」とは、この事である。あのような印象操作を編集によって行なっておきながら、「放送人権委員会が指摘しているような『小保方氏が、元留学生作製のES細胞を不正行為により入手し、STAP細胞を作製した疑惑がある』という内容にはなっていません。」(NHKのコメント)と言うのである。ならば、何故、あのような編集をしたのか?と言いたくなるのは、私だけだろうか?




5.太宰治の「人間失格」




 もうひとつ、NHKの「反論」の中で、笑った箇所がある。それは、これである。



 「この番組は、その最中の同年7月、社会の関心に応えようと100人を超える研究者・関係者に取材を尽くし、2000ページを超える資料を分析して客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作・放送しました。番組の中の事実関係に誤りはありません。」(NHKのコメント)



 NHKのこの「反論」を読んで、私は、太宰治の『人間失格』の一節を思い出した。それは、この一節である。


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 「しかし、お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」
 世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、岡本にそう言われて、ふと、
「世間というのは、君じゃないか」
 という言葉が、舌の先まで出かかって、岡本を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。
(それは世間が、ゆるさない)
(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
(そんな事をすると、世間からひどいめに逢(あ)うぞ)
(世間じゃない。あなたでしょう?)
(いまに世間から葬(ほおむ)られる)
(世間じゃない。葬るのは、あなたでしょう?)


(太宰治『人間失格』(新潮文庫・2015年)100〜101ページ)
https://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%A4%B1%E6%A0%BC%E3%80%90%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB%E3%80%91-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%81%9F-2-5-%E5%A4%AA%E5%AE%B0-%E6%B2%BB/dp/4101006059/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1484126902&sr=8-1&keywords=%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%A4%B1%E6%A0%BC%E3%80%80%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB%E3%80%80%E5%A4%AA%E5%AE%B0

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 NHKは、「社会の関心に応えようと100人を超える研究者・関係者に取材を尽くし、」あの番組(NHKスペシャル『STAP細胞 不正の深層』)を作ったのだそうである。しかし、ここでNHKが言う「社会」とは何だろうか?或いは、「研究者・関係者」とは、どんな人たちだろうか?それは、太宰治が『人間失格』のこの箇所で取り上げた「世間」と同じではないのだろうか?
 「社会」とは、NHKの事ではないのだろうか?そして、「研究者・関係者」とは、NHKの番組制作に都合の良い人たちばかりだったのではないだろうか?
 
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(それは世間が、ゆるさない)
(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
(そんな事をすると、世間からひどいめに逢(あ)うぞ)
(世間じゃない。あなたでしょう?)
(いまに世間から葬(ほおむ)られる)
(世間じゃない。葬るのは、あなたでしょう?)

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 NHKスペシャル『STAP細胞 不正の深層』は、『人間失格』のこの会話に、余りにも符合している。




(終はり)



西岡昌紀(にしおかまさのり) 1956年東京生まれ 北里大学医学部卒 内科医(神経内科)
著書に「アウシュウィッツ『ガス室』の真実/本当の悲劇は何だったのか?」(日新報道・1997年)「ムラヴィンスキー/楽屋の素顔」(リベルタ出版・2003年)「放射線を医学する/ここがヘンだよ『ホルミシス理論』」(リベルタ出版・2014年)が有る。




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■小保方氏のNスペでBPO「人権侵害あり」勧告 委員の主観で判断できるのか
(dot. - 02月21日 11:33)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=4442597


小保方氏のNスペでBPO「人権侵害あり」勧告 委員の主観で判断できるのか
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2017年02月21日 11:33 dot.





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 疑義のあるSTAP細胞の報道をめぐり、BPOは「人権侵害あり」の勧告をした。委員の主観に頼らざるを得ない判断が、調査報道の萎縮につながりはしないか。

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は2月10日、小保方晴子氏に対する名誉毀損による人権侵害があったとして、STAPに再発防止を求める勧告をした。この勧告は、発表資料だけに頼らない報道の今後の在り方を問うものだ。

 問題の番組は2014年7月27日放送のSTAPスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」。放送の半年前に、作製が容易な新しい万能細胞として大々的に発表されたSTAP細胞をめぐる調査報道だ。

●何が問題となったのか

 名誉毀損の判断は、「一般視聴者がどう受けとったか」を基準とする。委員会は番組前半の「STAP細胞は存在するのか?」から、視聴者は次の四つを「事実」ととらえたと判断した。

(1)STAP細胞の正体はES細胞である可能性が高い。

(2)細胞の解析によれば、小保方氏のつくったSTAP細胞は精子が緑色に光る遺伝子が入ったアクロシンGFPマウスに由来するES細胞である可能性がある。

(3)STAP細胞は、元留学生がつくり、小保方氏の冷凍庫に保管されていたES細胞に由来する可能性がある。

(4)小保方氏には、元留学生のES細胞を不正な方法で入手し、混入してSTAP細胞をつくった疑惑がある。

 番組で示されたこれらの事柄(摘示事実)が小保方氏の社会的評価を下げたことは明らかだ。だが、公共性・公益性の認められる調査報道では、真実(真実性)か、真実と信じる相当の理由がある(相当性)ならば、名誉毀損にはならないとされる。

 委員会は(1)と(2)には真実性があるが、(3)では認められないとした。(3)で示された元留学生のES細胞は(2)のアクロシンGFPの入ったES細胞ではなく、そうだと見なせる相当性もないからだ。(3)が認められない以上、前提となる(4)にも真実性・相当性はないとし、名誉毀損による人権侵害があったと結論づけた。

●2人は「人権侵害なし」

 ただし、9人の委員のうち2人は意見が異なる。奧武則委員はアクロシンGFPの入ったES細胞と元留学生のES細胞のエピソードは別の話として視聴者は見るだろうとし、(4)にも相当性があるので「人権侵害があったとまでは言えない」。

 もう一人の市川正司委員も「名誉毀損があったとは考えない」が、奧委員とは理由が違う。小保方氏の冷凍庫にあった複数のES細胞のうち、どれかがSTAP細胞の正体となった疑いがあるとの考えには相当性があり、名誉毀損とはいえないとした。ただし、複数のES細胞の中で元留学生のものに焦点を当てたことには相当性がなく、不正確で勇み足だと断じた。つまり、小保方氏の冷凍庫内の複数のES細胞を全て映していれば、問題はなかったという判断だ。

 このパートについて、坂井眞委員長は「取材が不十分だったのではなく、編集上の問題。アクロシンGFPのES細胞の話と元留学生のES細胞の話を分けて示せばよかった」と話す。

 だが、小保方氏の冷凍庫に元留学生のES細胞があった点は真実性がある。元留学生の証言から、これを小保方氏が不正に入手した疑惑には相当性がある。これがアクロシンES細胞ではないことが明示されたとしても、視聴者は結びつけてしまうのではないだろうか。坂井委員長は「その表現を見てからでないと判断できない」と話す。

 小保方氏の冷凍庫にはほかにも複数のES細胞があり、そのうちの一つがSTAP細胞の正体だったことがのちにわかっている。市川委員の意見のように、これらを全て映していれば、元留学生のES細胞は入手方法の不明さを示すあくまで一例となり、問題にはならなかったのか。ここの線引きもよくわからない。

「一般視聴者がどうとらえたか」は、委員の主観的な判断に頼らざるを得ない。委員会は調査報道が萎縮することがあってはならないと強調したが、主観に左右される「一般視聴者のとらえ方」を相手に、どこまで疑惑に踏み込んだ報道ができるのかには疑問が残る。(科学ライター・詫摩雅子)

※AERA 2017年2月27日号

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