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2020年03月30日22:31

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医療崩壊を防ぐ要は人工呼吸器の緊急増産

[FT]英知が試される人工呼吸器の緊急増産
2020/3/30 16:53

発明家、学者、自動車メーカー、航空宇宙機器メーカーなどが、数十万台の人工呼吸器を作ろうと躍起になっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)に伴い、重症患者の呼吸を助ける人工呼吸器の不足が世界で深刻になっているためだ。

必要とされる人工呼吸器の数は業界の通常の生産量をはるかに超えており、米ニューヨーク州だけでも追加で3万台が必要だという。このため、米ゼネラル・モーターズ(GM)、欧州の航空機大手エアバス、英マクラーレン・オートモーティブ、英ダイソンなど大手メーカーが、新型コロナのパンデミックで生産を縮小・一時停止している工場のラインや技術力を相次いで提供している。

だが問題は、技術力はあってもこの分野に経験のないメーカーが、技術、物流、規制といった障壁を乗り越え、人命に関わる人工呼吸器を大量かつ速やかに納入できるかどうかだ。

ある人工呼吸器メーカーの社員は「大量増産をする体制を取ること自体は難しくない。問題は、原材料や部品があるかどうかだ」と打ち明ける。

感染拡大が最も深刻な地域では、危機が思わぬ創意工夫も生んでいる。イタリアの3D印刷のスタートアップ企業イシンノーバ(Ishinnova)は、ある医師のアイデアから仏スポーツ用品店デカトロンのシュノーケリング用マスクを病院の人工呼吸器用のマスクに転用した。

数週間のうちに想定されている感染のピークに対処するには、製造業界の大奮闘が必要になる。英当局は既存の国産2モデルの増産と緊急事態に応じて開発された新型モデルの投入を検討している。もっとも、英国で使われている人工呼吸器の多くは海外からの輸入品だ。

■ダイソン、VW、など参入続々

英ダイソンは、先週、政府から人工呼吸器1万台を受注したことを明らかにした。医療機器製造の経験を持つテクノロジー関連のコンサルティング会社「ザ・テクノロジー・パートナーシップ(TTP)」と共同で、10日間でゼロから開発したものだが、政府の認可を待って生産を開始する。ダイソンのオーナーで富豪のジェームズ・ダイソン氏は、私費を投じて別途5000台生産すると表明した。

一方、欧州工場の稼働を一時停止している独フォルクスワーゲン(VW)は、部品や複雑な型を短時間で製造できる産業用3Dプリンター125台を使って人工呼吸器の部品を製造できるか検証することを指示した。VW傘下のシュコダ(チェコ)は地元の大学と共同で、3Dプリンターを使って部品を試作している。

もっとも、専門性が高く規制に縛られた分野だけに、経験のない企業が既存の工場を使って製造するのはたやすいことではないというのが多くの製造業専門家や医療機器メーカー関係者の見方だ。新規参入の企業が生産にこぎ着けるには、かなりの時間を要するという見方が多い。

製造業に詳しい独コンサルティング大手、ローランド・ベルガーのベルンハルト・ランゲフェルト氏は「例えばプラスチック成型や組み立て、検査用の工具を注文するだけでも3〜6カ月かかる」と指摘する。「(生産する判断を)今すぐに下さなければ、6月に10万台の生産はできない」と述べた。

集中治療室(ICU)で使われる最も高機能の人工呼吸器の価格は2万ポンド(約270万円)を超える。過大な圧力や量のガスが患者の肺に送り込まれないよう、「同調性」を確保する必要がある。

医療機器エンジニアのポール・ディクソン氏は、こうした高機能の機器はともかく、それぞれの症状に応じて別のタイプの人工呼吸器で対応することができると指摘する。例えば救急車でよく使用される移動用の人工呼吸器は大抵5000ポンド未満の値段で売られている。

ディクソン氏は「(気道を開いておくための圧力を確保するために)酸素と空気を送り込む装置なら単純だ」と話す。「複雑な制御を必要としない装置なら、大量生産すれば、供給不足は割とすぐに解消するだろう」と語った。

こうした装置は睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の患者に施される持続陽圧呼吸療法(CPAP)の器具の様に、マスクを付けて空気を送る簡素な装置になるとみられる。

ディクソン氏は最先端のICU用人工呼吸器1台に対し、簡易型のCPAP機器が2〜3台必要になると推測する。こうした機器なら、航空宇宙や自動車など空気力学の先端知識を持つ業界で生産可能だ。

■既存業界からは懸念の声

一方、供給不足を補おうとするこの善意の取り組みの負の側面を懸念する声もある。

米国の人工呼吸器メーカー、米レスメドは生産台数を3倍に増やしているが、同社のミック・ファレル最高経営責任者(CEO)は、他のメーカーは限られた資源を奪い合うのではなく、自社の増産を支えてほしいと訴える。

ファレル氏は「大手電気自動車(EV)メーカーから支援の申し出があれば、『素晴らしいお申し出だが、我々は別の生産ラインを必要としてはいない。リチウムイオン電池を提供してもらえるとありがたい』と答える。それが、航空宇宙メーカーなら特定の部品の供給をお願いできれば、という話になる」と話す。

人工呼吸器メーカー大手3社の一角を占めるスイスのハミルトン・メディカルは、生産台数を週約500台と通常の2倍に増やしている。単純な形の接続金具やコンピューター画面、電子回路基板などの部品を海外から調達している。

ハミルトンのイェンス・ハレックCEOは「原材料(の不足)が生産のネックになるだろう。サプライヤーがにわかに(生産能力を)増強できるかどうかは分からない」と話す。

自社で一から開発するのではなく、既に製品化された機器の設計を利用しようとするメーカーもある。GMは米インディアナ州の工場で米ベンテック・ライフ・システムズの認可済みの人工呼吸器を生産し、原価で提供する。1号機は4月に納入予定で、GMとベンテックを合わせた生産能力は月1万台に増える。

GMの北米工場は全て閉鎖されているが、人工呼吸器を組み立てるために従業員1000人が職場に戻る。

一方、米フォード・モーターは連邦政府の許可を待って、自社工場の一つで米ゼネラル・エレクトリック(GE)系のGEヘルスケアと共同で簡易版の人工呼吸器の生産に乗り出す計画だ。

人工呼吸器の利用台数が増えると、関連の「消耗品」の供給も再検討が必要になる。機器を使用する際に定期的に交換しなくてはならないマスクやゴム管、センサーなどの付属品だ。

■委託生産の可能性

さらに、安全規制の問題も立ちはだかる。医療機器が当局の認可を受けるには通常は数カ月から数年かかる。もっとも、今回は米国と英国は規制を緩和する方針を示している。部品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)や最終検査、製造現場などの基準を満たさなくてはならない。

患者に直接触れる機器はクリーンルームで生産する必要がある。これは航空宇宙部門でも同じだ。英国医薬品庁(MHRA)は、他の規制業界で既に使われている施設を持つ企業が品質と安全性の基準を満たせるよう支援に乗り出している。

医療機器の委託生産に取り組む英ITL社のトム・アクリル氏は、専門メーカーが自社が受けた認定を貸与するのも一つの手だと話す。

アクリル氏は「当社は委託先の購入部品や、組み立て方法、全ての技術的作業を監督できる。各社は基本的に当社から貸与したプロセス利用してそれぞれの施設で製造をしている」と話した。

緊急事態が続けば、こうした応急措置を取る必要も出てくるだろう。

By Michael Pooler, Joe Miller, Hannah Kuchler, and Claire Bushey

(2020年3月29日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57396170Q0A330C2000000/
いきなり戦争が始って、武器を大量増産する方法を模索しているみたいです^^;

>米ニューヨーク州だけでも追加で3万台が必要だという

日本は3千台の人工呼吸器を用意しているようですが、もう少し積み増しておいた方が良いようです。
バンデミックが起きてからでは間に合いません^^;
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