厳密に言うと1年前くらいからニコニコ静画の更新を楽しみに読んでいるので、
最近はまったワケではないのですが、
先月末発売予定だったコミックス4巻が新型コロナウイルスの影響で発売延期になって、
既刊を読み返していたらやはり好きな話しだなと再確認したのでご紹介。
『ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール』(うおやま・KADOKAWA)
ニコニコ静画のあおりによると、
無職のヤンキーと弱視の女子高生「運命の」ラブコメ!
なのですが、
各人の持つ色んな意味でのハンデキャップについて考えさせられるシビアな側面と、
ほっこりと可愛らしいラブコメとしての側面、
そして4コママンガとしての笑える側面のバランスが実に絶妙なマンガなのです。
悪名高きヤンキーの黒川森生は、
子分たちと点字ブロックの上でたむろしていたら、
盲学校高等部に通う弱視のユキコさんの白杖が偶然お尻に刺さり、
カンチョーされてしまいます。
顔にナイフで切られたキズがあるため見た目からして怖がられている彼ですが、
顔がよく見えないユキコさんには分かりません。
と言う訳で、自身がいかに強そうな外見か盛り気味に言葉で説明したところ、
真剣にキズの心配をされてしまい、その真剣な瞳に一目惚れ
なんとかデートに持ち込んで格好つけて全身黒で決め待ち合わせ場所に行ったら、
ユキコさんに黒い服は影と同化して認識できないと言われ、
慌ててて古着屋で洋服を買って、
彼女が認識しやすい赤とオレンジと蛍光イエローのハデハデな服に着替えたら、
見えやすいけど 一緒に歩きたくない
と言われる、というようになかなか進展しないもどかしくも可愛らしい恋のお話が、
弱視のユキコさん、顔のキズが敬遠されバイトの面接に落ちまくる黒川、
人付き合いが苦手で上手く生きられない黒川の子分ハチ子ちゃんetc.
登場人物各人の持つハンデキャップの問題を絡めて進展していきます。
このマンガは登場人物に心底悪人はいない俗に言う"優しい世界"だと言われています。
一人だけユキコさんの盲学校の同級生にトンでもないことをしでかして、
警察沙汰になる「クソ野郎」が出てきますが、
彼にもそうなったのには理由があるという描き方がされています。
運悪く永年「クソ野郎」顔負けの親族に悩まされて生きてきたわたしとしては、
心底悪人はいない"優しい世界"というのは絵空事っぽくて苦手なのですが、
このマンガは"優しい世界"のなかにシビアなところも見え隠れしているので、
わたしのようなひねくれたおばさんにもすんなり読めるようになっています。
黒川の知己で彼のユキコさんへの心遣いにインスパイアされて、
左前のビデオショップを高齢者向けに改装することを決めた店長は、
私たちは必ず老いる −運が良ければな
とすらっと言ってのけます。
つまり、運が悪ければ長生きはできないことも考えているのです。
黒川の子分のハチ子ちゃんは密かに思っていた兄貴分に彼女ができたことを嫉妬し、
白杖を持って同情をひくなんて「障害者はズルイ」と思い、
その気持ち直接ユキコさんにぶつけてしまいます。
妹のことを心配してあれこれと世話を焼いているユキコさんのお姉さんは、
時として障害を持つ妹の存在がプレッシャーになり、
そのプレッシャーに押しつぶされそうになったりもします。
でも、基本はほっこりとしたラブコメ。
陳腐な表現ではありますが笑いあり涙ありの世界です。
読む人によってはもう少しシビアに問題を突き詰めた方が良いとか、
ラブ要素が強い方が良いとか思われるかも知れませんが、
わたし的にはシビアな問題に直面してもきっと解決策が見いだせるはずと信じて、
なかなか進展しない2人と彼らを取り巻く人々を、
ゆったりとした気持ちで気長に見守ってゆけるのが楽しみです。
※1巻および最新10話分の無料試し読みはこちら
https://seiga.nicovideo.jp/comic/35374
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