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2019年08月20日08:32

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精霊馬

10年ほど前、鎌倉の二階堂あたりを歩いていると、写真のようなキュウリとなすびに割りばしの足を着けたものが道端に置かれているのを見かけた。私の育った地域ではこのような習慣はなかったので、とても奇異というか面白いと感じた。どうやら、それは関東地方を中心とする精霊馬という風習だということだった。

キュウリは馬、茄子は牛ということらしい。お盆に先祖の魂が帰ってくるときの乗り物で、来るときは早くこちらに来れるように馬に乗ってくる。そして帰るときはできるだけこの世にとどまっておられるように牛に乗ってゆっくり帰る。そういう趣旨らしい。

ここでちょっと理屈をこねると、この話は少しおかしい。来るときは早く来れるように馬に乗ってくるというのは分かるのだが、帰るときはゆっくりと牛に乗って帰るというのはどうだろうか?
見送る方だって、悠然と牛に乗って帰るご先祖様を見送れるのは、30m先の大通りに出るまでで、角を曲がればもう姿が見えなくなる。どうせあの世へ戻るなら、足の速い馬で帰った方が、ゆっくりこちらにとどまっておられるというのが理屈ではないか。

自分が田舎へ帰省する時のことを考えてみればわかる。往きはできるだけ早く実家に着きたいので新幹線を利用する、帰りはゆっくり帰りたいので鈍行でという人は少ないのではなかろうか。田舎で出来るだけ羽を伸ばしたいなら、行きも帰りも新幹線にするのが良いだろう。
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