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2020年11月18日22:50

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ホラー特集

 ヒューマントラストシネマ渋谷で「シッチェス映画祭 ファンタスティックセレクション」。スペインのリゾート地シッチェスで毎年開催されているファンタジー系作品を上映する映画祭。
 そこで上映された作品を公開する企画で、毎回通っているのだが、今年は夜の上映が多くてなかなか行けず、観た作品は1本のみ。
 「ザ・ヴィジル 夜伽」。キース・トーマス監督19年のデビュー作。「超正統派」というユダヤ教の一派には、死者と一晩過ごし、聖典を朗唱して悪魔を追い払う慣例がある。主人公の青年は、過去のトラウマから信仰を失っているが、報酬に釣られこれを引き受ける。
 認知症を患う未亡人は、青年に出ていくよう忠告する。その通り怪異が起き、悪魔が現れる。青年は逃げ出そうとするが、途端に苦痛に襲われ逃げられない。
 舞台はニューヨークであり、一室で悪魔と闘うのは「エクソシスト」のようで、似たような描写もある。背景がユダヤ教であることが珍しい。死んだ老人が悪魔にとりつかれたのは、ホロコーストの記憶から。青年が狙われるのは、過去の罪の意識からで、こちらもユダヤ人ゆえの受難だ。
 主眼は青年のトラウマの克服であり、逃げていた過去に向かい合うこと。これは普遍的なものであり、共感できる。ラストも宗教に帰依するわけでもなく、コミュニティに帰還数するわけでもない。青年が自らの道を探るのが清々しい。
 この企画ではないが、シネマカリテでニコラス・ペッシェ監督「ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」。ファーストシーンは04年の東京。出てくる女性の通話を聞くと、これが同年の清水崇監督によるアメリカ版「呪怨」の正当な続編と分かる。アメリカ人女性が慌てて飛び出してきた家は、清水版で呪われた家であったウィリアムス家だ。この家に出入りしていたのは、サラ・ミシェル・ゲラーの留学生だけではなかった。
 既に女性は伽耶子の呪いにかかっていることがわかる。帰国した女性は、さらに呪いを広げてしまう。
 06年、ペンシルベニア州に赴任したシングルマザーの刑事は、呪いのかかった家と関わることになる。ショック描写は清水版に及ばず、同じような場面もあって前作を越えていない。しかし06年の捜査と04年の事件を時制を前後させ、視点を変えて見せるのは、ひねりが加わって面白い。
 また妻の病気治療のためここに越してきた老夫婦と、胎児に障害があることがわかった若夫婦のドラマが意外と見せる。ともに異人種結婚であることも今風。
 それに清水版で石橋凌が演じた中川刑事が名前のみ出てきたり、タイトルがまず日本語で「呪怨」と出たり、オリジナルへの目配せなど、いい箇所は見受けられた。
 森に放置された死体が長く発見されなかったり、森の中の1本道を何度も見せたり、都会とは違った雰囲気がある。ここが大統領選の勝敗を決めるとは。
 
 
 
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