上野オークラで吉行由実監督の新作「同棲性活 恥部とあなたと」を観る。同棲中のマコトとエミリの家に、AV女優のあかねが同居することになる。そこから人間関係に変化が訪れる。
登場人物たちの関係が奇妙だ。両親は離婚しているが、マコトは母親と父の愛人たちに育てられる。母親と愛人たちは友人になっている。AV監督の父親は再婚するが、相手がマコトの元カノで、落ち込んだマコトは現場にいた出演女優のあかねと関係寸前になるが、エミリのために思いとどまる。そこから同居が始まる。
あかねとエミリは意気投合。しかしそれだけではない。エミリは傷心の友人と1度だけレズビアン関係になったことがあり、あかねを意識する。
エミリがあかねと2人きりになった時、股間に疑似ペニスをつけている場面は可笑しいのだが、その前にレズビアン関係の友人への悔悟の台詞があるので感動させられる。
エミリはあかねとマコトをセックスさせるし、マコトはエミリとあかねのレズビアン映像を観て動揺するが、すぐに笑顔。とんでもない関係なのだが、不思議と不快感がない。「姉妹どんぶり 抜かずに中で」「発情娘 糸ひき生下着」を思わせる幸福感のある場面や、非ピンク映画的な音楽の効果と相まって愛情ある世界を作っている。
隠し事のないマコトとエミリや、率直に物を言い合える登場人物たちの世界は、性的なユートピアのようだ。
最後は母親の再婚パーティだが、登場人物が全員集合するダメ押しの幸福感。吉行監督の世界観が楽しい快作。
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