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2020年11月08日22:11

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ゆたか会プラス

 今月の目黒ゆたか会は、池島ゆたか監督の舞台公演に合わせて新宿スターフィールドで開催。劇場でゆたか会の映画を観られるとは嬉しい。
 「お嬢さん乾杯」。木下恵介監督49年作品。並木座で観たのは30年ぐらい前か。戦後勃興した庶民の成金と、没落貴族の娘の恋を描いたコメディで、当時はほとんど各シーンにあるギャグが楽しかった。
 今観ると、主人公を追ってアパートを1階から3階までワンカットで見せる場面は幸福感があるし、原節子に「お腹空いた」と言わせるのもいい。
 池島ゆたか監督のピンク版で、ミュージカル場面があるのに驚いたが、こちらも音楽が印象的。ショパンからよさこい節、主題歌も耳に残る。最後にチラリと流れるのは「愛染かつら」か。後に佐野周二も出演していた。
 主人公はがさつな成金だが嫌みがなく、令嬢も家族と違って貧乏に耐える気概がありそうだ。ただ主人公が弟分の恋愛に反対するのは、完全に偏見であり、殴るのはもってのほか。最後に2人の結婚を認めたとき、弟分に謝るべき。そうすれば主人公の成長が見えてさらに面白くなっただろう。
 主人公はがさつな成金だが嫌みがなく、令嬢も家族と違って貧乏に耐える気概がありそう。この2人なら「驟雨」のような夫婦にならないと感じられ、ラストシーンも気持ちよく観られた。やはり楽しい映画。当時の松竹のロゴは、富士山でなく地球だったのか。
 「魅惑の令嬢 Gの快感」は、池島ゆたか監督99年作品。「お嬢さん乾杯」をピンク映画にするアイディアが見事。ヒロイン一家が没落するのは敗戦に対してバブル崩壊。
 そして続けて観ると共通する場面が多い。泡だけになったビールのコップは今回初めて気づく。ヒロインが自分の気持ちに気づく場面もそっくりだが、感動することは変わらず。こちらも面白い映画。
 私もエキストラで出演。懐かしかったのは栗本サード助監督。木下版で坂本武の役柄を演じたが、本来はスケジュールの関係で出演できなかった神戸顕一さんの役。現場で何度も怒られていたが、私は良くしてもらった。今どうしているのだろう。
 本来はここで終わりだが、この後「里見瑤子×池島ゆたか」の公演。実現しただけでも奇蹟なのに、再度の追加公演とはすごい。
 里見瑤子さん出演の短編映画からスタート。今回は演劇に合わせて2人しか出演しない映画特集。
 「サトミとヨーコ」は宮野真一監督作品。この題名だけで里見瑤子愛があふれる。内容もその通りだが、意外や切ない幕切れが記憶に残る。
 「スマイル」は、麿監督作品。青年がぶらりと入った教会に先客の女性がいた。ほぼ神についてのやり取りだが、おそらくは引きこもっていたであろう青年を歓迎する女神的な役を里見さんが演じている。
 「OldFriends」は森山茂雄監督作品。帰郷した女に、かつていじめた同級生の男がついてくる。復讐するわけでなく、ただニコニコと話しかけてくる。男にケリを入れる里見さんのワイルドさが珍しいが、最後の泣き出す芝居がよかった。男を演じた塚本能礼さんが亡くなっていたとは。
 「月とワイン」は渡邊世紀監督監督作品。偏執的夫にとって妻は美術品のよう。手があれるから料理は禁止、家からも出られない。妻もそんな夫を愛している様子。しかし、2人の奇妙な関係も限界が来て意外なラストとなる。舞台になるリフトで出入りする家から不思議な世界を感じさせた。ただ従順なのでなく、情熱を感じさせる里見さんの役柄が面白い。上映後、渡辺監督のギターに乗せて里見さんが「もしも願いが」を歌う。前回以上に里見瑤子ショーになっている。
 そして「キネマの女神」上演。初日より上演時間が長い。ちょっとアドリブが入ったか。間を取ったか。とにかく、初日と千秋楽を観られてよかった。
 その後芝居のフォトセッション。2度芝居を観ている感覚。「ザ・痴漢教師3」の思わぬ裏話を聞けた。
 客も総出で会場を片付け、その場で打ち上げ。実に楽しい1日。池島監督、里見さん始め、関わった全ての皆さんに感謝です。

 
 
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