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2020年09月27日21:08

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ノルマ

 新宿スターフィールドでプロジェクト・1「ノルマ」を観劇。夜、取り壊しになるビルのエレベーターに乗る女性。屋上から飛び降りて自殺するつもり。ところが次々人が乗ってくる。馴れ馴れしい青年に上司の悪口連発のOL、妙な格好をした中年男。ところがエレベーターが止まってしまう。さらに中年男が自殺をしようとしていると分かり、復旧までの間、男に自殺を思いとどまらせるため、皆が身の上話を始める。
 エレベーターに閉じ込められる設定の演劇は前にも観た。この芝居がそちらより優れているのは、演出と今の時代を感じさせるところ。
 狭い空間の設定なので、暗転を繰り返して視点を変えることで、単調にならない。身の上話では、舞台上で回想場面が演じられ、それに登場人物たちがツッコミを入れる。
 上演前の寸劇の段階で、エレベーター内の密への言及がある。役者は全員マウスシールドをつけているし、登場人物たちの生きづらさは、今の苦しさにつながる。
 その上で生きることを無条件で肯定する。「命の選別」を否定し、今を生きる人々への応援歌になっているのが気持ちいい。冒頭の設定に違和感があったが、最後のオチを見れば納得。
 女性の自殺の原因となった父の死と母との不仲は、山内大輔監督「つれこむ女 したがりぼっち」を思わせる。客演の里見瑤子さんが母親役なのも同じ。里見さんは登場しても顔が出てこないと思ったら、最後に見せ場あり。「浅草21世紀」以外では約半年ぶりの演劇となったが、楽しめた。上演に感謝。
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