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2020年07月19日21:24

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ゆたか会

 池島ゆたか監督に関わる映画を上映する「ゆたか会」に参加。最近は打ち上げのみだったが、今月は久しぶりに休みが取れ、映画の上映に間に合った。
 「ルイーズとケリー」。ジェーン・カンピオン監督86年の作品。76分とコンパクトな作品で、日本公開は97年。「ピアノレッスン」などで評判の高まったカンピオン監督の初期作品として公開されたのだろう。
 優等生のルイーズと、男と同棲しながら自堕落な日々を過ごすケリー。全く違う2人だが、ここから時間が少しずつ戻り、2人の関係を描き出す。少し前に戻ると、ルイーズはボーイフレンドがディスコでケリーを見かけたことに興味を示すが、さして突っ込んだ話はしない。ケリーからの長い手紙も途中までしか読まなかったのではないか。ケリーも家族と決定的に決裂する。
 さらに遡ると、ケリーが高校を義父の反対で辞めさせられたことがわかる。ケリーは積極的な性格、ルイーズは周囲に合わせる性格であり、この時点でケリーに若干のだらしなさが見える描写がある。そして二人が最も仲の良かった終盤へ。
 時間が遡る手法はが面白い。ただ上映時間が短いわりに視点があちこち動き、ちょっと散漫な感じを受けた。同じ手法のイ・チャンドン監督「ペパーミント・キャンディー」の繊細な主人公が写真家になりたい夢を語るラストは、その後の人生を知っていだけに、痛みを覚えた。2人が喜び合う「ハッピーエンド」にそれが乏しい。カンピオン監督もまだ習作だったか。
 それを元ネタにした池島監督97年作品「巨乳・美乳・淫乳・揉みくらべ」(原題『マリコ』)。主人公のマリコの死から始まり、知人たちが死体に見つかった浜辺へやって来る。
 そこから時間が戻る。マリコは次々男と関係し、周囲を裏切る。しかし不愉快な人物ではない。親に電話しながら一言も喋れなかったりする弱さや、それなりに良く生きようとする姿勢もある。
 「何でもないものになりたい」と言うが、同じような台詞が橋口亮輔監督「二十歳の微熱」にもあった。あのゲイ青年の世界に対する疎外感と同じようなものを感じていたのか。
 路上で意気投合した女性と笑い合うラストは、その後周囲の人間関係を壊すだけに、痛みを感じさせる。上映後の主演の槙原めぐみさんについてのエピソードを聞くと、実にぴったりの役だったのではないか。公開時に観て以来の再見だが、あの時以上に楽しめた。
 上映後打ち上げ。ここで映画の話ができるのは嬉しい。久しぶりに話した人もいて、楽しい1日でした。
 
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