mixiユーザー(id:6400308)

2020年04月08日21:57

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旧作

 緊急事態宣言が出た。お上に自分の権利や自由が制限されるのは恐ろしい。特に現政権は危険ではないか。さらに映画館が休館となってしまう。私にとって映画は平時の贅沢ではなく、生きるのに必要なものだ。発令の直前にシネロマン池袋で新東宝旧作を観る。
 「変態」は北川徹こと磯村一路監督87年作品で、33年ぶりの再見。ファーストシーンの鍵のアップから不穏な空気が漂う。すぐ部屋に侵入してきた男に女性がレイプされるが、これは夢。
 ヒロインは新しい部屋で繰り返しレイプの夢を見る。前住人が残した電話に、男から猥褻な通話が入る。さらに周囲には似ていないのに前住人に間違われる。ヒロインはレイプが前住人の経験だと考え、行方を追う。
 部屋の記憶というホラー映画風展開と、磯村演出のひんやりとした緊張感が相まって、公開時も楽しめたが今観ても面白い。終盤の展開は、当時「エルム街の悪夢」だと思ったが、彼氏も友達もいないと思しきヒロインの孤独感の現出とも取れる。磯村監督最後のピンク映画となったが、有終の美を飾った。
 「女子大生 教師の前で」は水谷俊之監督83年作品で、「変態」と同じく磯村一路監督の脚本。助監督は周防正行監督。母親に電話を欠かさず、朝はジョギングする真面目な女子大生がヒロイン。夜のアルバイトで、朝は起きられず煙草で目を覚ます女子大生。2人は同じ大学の友人。ヒロインは友人が覗き部屋のアルバイトで大金を稼いでいると知り、誘われるまま自分も覗き部屋へ。
 まじめな性格はそのままに、覗き部屋のナンバーワンとなっていくヒロインが奇妙。歯が手私物を持ち込むようになり、さらに電話を引いて覗き部屋に住むようになる。そして普段の自分の写真をスライドにして裸に投影させる。両者が重なる場面は凄い。
 ラストのヒロインの一言で、自分も覗き部屋の客であるとわかる。他者の生活をのぞき見するのは、まさに映画であり、覗き部屋はそのメタファーだろう。水谷監督は前年の「視姦白日夢」で、精神的に追い詰められた男の心情を凝った手法で描いたが、こちらも好調。楽しめる2本だった。緊急事態宣言はゴールデンウイーク明けまでだが、うまく行っても1か月劇場には行けない。こんなことはほぼ40年ぶり。1日も早い終息を願います。
 
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