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2020年02月28日23:50

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未体験ゾーンとのむコレ

 引き続きヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「未体験ゾーンの映画たち」に通う。「ミッドウェイ 運命の海」は、今年公開のローランド・エメリッヒ版に先駆けるミッドウェイ海戦映画。
 予算は明らかに低く、戦闘場面はあまりない。撃墜されて海を漂うアメリカ軍パイロットと救出部隊、スプルーアンス少将の3つの視点から描かれる。
 3つの話に共通するのは、兵の命を大切にすること。救出部隊はゼロ戦の攻撃に遭いながら、命がけで捜索する。スプルーアンスは強硬なフレッチャー少将の意見を退け、パイロットのマクラスキーらの意見を取り入れる。低予算ゆえか3つの話がうまく絡まず散漫な感じもするが、命を救うのが前面に出るのがよし。
 救出部隊の指揮官C・トーマス・ハウエルがアロハシャツを着ているのは、当時のアメリカ軍から見てリアルと言っていいか。今回の未体験ゾーンの映画たちは、前回より高打率。
 シネマート新宿で開催の「のむらコレクション」も未公開映画の特集上映。こちらはアジア映画が多いが、唯一観たのはキネマ旬報シアターで上映されたノルウェー映画「エスケープ ナチスからの逃亡」。
 42年のナチス占領下のノルウェー。家族を殺されたユダヤ人少女が、山中を彷徨った末農場にたどり着く。しかし農場主はナチス協力者。少女は髪を切り、少年に変装してもぐりこみ、脱出の機会をうかがう。
 登場人物たちの造形が面白い。父親は男らしさを強調し、障がい者の息子を軽視する。マチズモの権化なのだが、「少年」を明らかに性的な目で見ている。自らの生い立ちを語るとき、「極貧に生まれた」と言って絶句する。この人物の苦難の人生が感じられ、ただの悪役にしていない。
 演じるアウグスト・ディールは、「イングロリアス・バスターズ」の親衛隊少佐役で記憶するが、ここでも印象的であり、テレンス・マリック監督「名もなき生涯」では主演だ。最後の自我の崩壊が凄い。
 その妻は、少年の正体を見抜くが最後までかばう。しかしドイツ将校と不倫しており、2人で逃げることを計画している。
 少女を最初に助ける障がい者の息子は善人だが、父親が自分より「少年」を可愛がるのに嫉妬する。
 少女は映画好きで、平和なファーストシーンでは部屋はハリウッドスターの写真で溢れる。農場でも豚を「ボギー」と名付ける。ラスト近くの逃亡場面では、突如「ニノチカ」を上映している映画館に飛ぶのが面白い。
 かつての敵味方が、家族を失った者同士として連帯するラストもよし。予想以上に楽しめた。
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