mixiユーザー(id:6400308)

2020年02月25日23:45

72 view

今週のオークラ

 上野オークラで稲尾実監督78年作品「痴漢満員電車」を観る。大学受験のため上京したヒロインは、いきなり中央線最終電車で集団痴漢に遭う。姉夫婦の家では、義兄によって2人のセックスを見せつけられる。さらに同じ予備校の青年と初体験をするが、これがとんでもない女たらしと分かり愕然。セックス中の2人に水をかけるのが痛快だ。
 これら事件がヒロインのお気楽なナレーションで語られる。いつもの稲尾監督のコメディだと思ったら、意外やヒロインの成長を描いた青春映画として楽しめる。特に女装男とのエピソードがいい。
 これに電車内でのゲリラ撮影、「飛んでイスタンブール」「気まぐれビーナス」を使う著作権など歯牙にもかけない姿勢がいかにも古いピンク映画の楽しさがある。ちなみに劇中アニメは「マジンガーZ」のテーマ曲がかかるが、別のアニメ。
 志賀葉一カメラマンによる手作り特撮も、物語の中で機能している。ヒロインが観る映画は「クワイヤボーイズ」と、タイムマシン効果もある。
 痴漢を肯定したり、トランスジェンダーの描き方など今観るととんでもない箇所もあるが、面白い作品だった。
 「魔性尻 おまえが欲しい」は、ベイビーブーム・マサ監督となっているが、廣田正興監督らしい。脚本の今奈良孝行は、劇団「ハイレグジーザス」で何度か観た人。またも他分野からの起用だ。
 殺人現場で笑みを浮かべて死んでいる男。そこから1か月前に話が飛び、さらに15年前、主人公が俳優として売り出した頃の話になる。先輩俳優に紹介された女占い師に「龍から地球を救う」と言われ、そのまま関係する。正月の「痴漢電車 夢見るなすび」に続いてまた龍だ。
 目を引くのは、主人公の友人であるワイルド系の男。「お前のためにやった」と言って女占い師を殺し、これによって主人公は俳優を断念。15年後に出所すると、父親が身元引受人となり、会社を継いだ主人公のところで働くことになる。
 この男は再び殺人を犯し、さらに主人公が好意を寄せていた女性を奪う。全て「お前のため」。主人公の「ダークハーフ」のようなキャラクターで興味深いが、クライマックスで語られる動機は、単なる嫉妬ではないか。これはがっかり。
 主人公も突然女性を侮辱する言葉を吐いたり、どうもキャラクターがつかめない。それに尻フェチであることをもっと強調しておくべき。首を絞める性癖は見せているのに。
 時制を前後させる凝った作りや、主人公を痛めつけながら友人となる男など面白いだけに、登場人物の気持ちが伝わってこないのが残念。
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829

最近の日記

もっと見る