丸の内ピカデリーの「グッドバイ」の試写へ行く。敗戦直後、雑誌編集長である主人公は、妻子を疎開させたまま3人の女と愛人関係にある。しかしそろそろ家族で暮らしたいと考え、愛人たちと別れようとするが、優柔不断で言い出せない。
旧知の女担ぎ屋が、実は美人と知った主人公は、偽の妻を演じさせて別れ話を切り出そうとする。
原作となったケラリーノ・サンドロヴィッチ作の舞台を見逃したのが惜しまれる。大泉洋演じる主人公は逆に女たちから別れを切り出される場面が多く、モテ男と言うより情けない男。女担ぎ屋に2階から投げ飛ばされる場面が笑わせる。
とにかくがめつい担ぎ屋の女は、普段と妻を演じているときのギャップが楽しい。小池栄子が終始だみ声で演じ、そのコメディエンヌぶりもいい。
挿絵画家の女に別れを告げようとすると、シベリア帰りの怖い兄が帰ってくるタイミングの良さ、続いて別れ話をした戦争未亡人が自殺未遂するドタバタは面白い。そして話の前提が崩れ、主人公を怒涛の不幸が襲う後半、そして女たちが「東京ブギウギ」に乗って踊る「ナイロン100℃」を思わせるシュールさなど、成島出監督は作品によって出来不出来があるが、この映画は楽しめた。
舞台の原作である太宰治の小説は未読。島耕二監督の映画も未見。どんな話になっているのだろうか。
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