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2019年06月17日22:06

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リヴァプール、最後の恋

 キネマ旬報シアターで「リヴァプール、最後の恋」を観る。母と息子ほど年齢の離れた男女の恋の話で、傑作とは言わないが、年上の女性がグロリア・グラハムであることが興味深い。81年、イギリスの舞台公演中に倒れたグラハムは、リヴァプールの舞台俳優であるピーター・ターナーに連絡を取る。
 2人は過去に付き合っていたらしいが、今はやり取りもぎくしゃくしている。ここから過去に戻るが、ターナーが部屋のドアを開けたら79年になる場面転換は面白い。ここから時制を前後させて2人の関係を見せる。
 ターナーが書いた回想録が原作。グラハムは「十字砲火」「孤独な場所で」「復讐は俺にまかせろ」など観ているが、これらの役柄や、ニコラス・レイ監督親子との結婚、離婚などの奔放さとは違い、ユーモアがあって愛情深い女性。
 映画に出演しなくなった後も、「ガラスの動物園」など舞台で女優を続けていたとは知らなかった。演技にも情熱を持ち続けたのだろう。演じるアネット・ベニングもいい。
 ターナーについては全く知らない。俳優としては大成しなかったのだろう。演じるのはジェイミー・ベル。「リトル・ダンサー」の少年がすっかり成長。ジョン・トラボルタの真似で踊る場面はオマージュか。
 グラハムが大切にしているのは、「孤独な場所で」撮影時にハンフリー・ボガートからもらった煙草入れ。夫のニコラス・レイ監督作だが、この時夫婦生活は破たん寸前。この夫婦関係をぶつけた異色恋愛物だと知っていると、さらに面白い。
 79年の場面では、2人で「エイリアン」を観ている。皆が怖がっている中で、グラハムのみゲラゲラ笑っている。名画座で自分の出演作「ネイキッド・アリバイ」(スターリング・ヘイドン共演。この映画は知らない)を観るときも笑っている。これら映画を観る場面で、グラハムの茶目っ気が見えて楽しい。
 製作者の1人がバーバラ・ブロッコリなのも意外。調べてみると、グラハムとターナーが付き合っていたころを知っていて、以前から映画化したかったそうだ。
 最後に実際のグラハムの記録映像が出る。これだけ見ると、そっけない人の印象だが、この映画を観た後では全く違う。映画人を描いた映画として楽しめる。
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