純白のワンピース

もう今は天国とやらで
お父ちゃんと100万年戦争に勤しんでいるに違いないうちのお母ちゃんの話です…

うちのお母ちゃんは　昭和九年生まれ
昭和十七年の時点で　一時的と国から説明があった商船の徴用が一向に終わらず
逆に徴用が増えている事に気がついたおじいちゃんの機転で
おじいちゃん　おばあちゃん　お母ちゃん　その姉　の4人で
北海道に疎開して　お百姓さんをしていたそうです…

当時を振り返るお母ちゃん曰く

なぜか毎日
純白のワンピースを着せてもらって
おじいちゃんおばあちゃんの野良仕事の見学だったそうです…

そこに　何度となく　米軍の艦載機が飛んできていたようで
何もわからないお母ちゃんは　その艦載機に向かって手を振っていたそうです…

たまに　お母ちゃんに見えるように艦載機が低空低速飛行して
パイロットさんが　お母ちゃんに手を振り返していたそうです…

戦後　随分経ってから　おじいちゃんが
「彼らも　血の通った人間だからな…」
と　僕に話してくれたのですが…

今考えると
おじいちゃんおばあちゃんにとって
お母ちゃんの純白のワンピースは

…

きっと「死装束」として着せていたのでしょう…

…

当時の米軍艦載機パイロットが　誰一人として　お母ちゃんに機銃掃射をしようと思わなかったから
今　僕が生きているのでしょう…

以上　とりとめのない話でした…








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