二日目(初日と連続していたのかどうかは記憶していません。お仕事の場で使う「第二営業日」みたいなニュアンスでご理解ください)…私は前回同様に、ショーツとスリップ姿になって、アトリエスペースに足を踏み出しました…
初日同様、大勢の美術部員が着座して待っていました・・・
初日よりも ステージ(?)と部員が腰掛ける椅子との距離が近づいているような印象が拭えませんでした・・・
それも ステージをとり囲むように…半円と云うよりも、アルファベットの“C”を横倒しにしたような感じで・・・私をやや背後から描こうとするような部員まで現れ、女子の部長さんも矢澤さんもそれを咎めようともしませんでした・・・
「今日もよろしくね…」
部長が心から申し訳なさそうに私に近づいてきました…
私も「こちらこそ…よろしくおねがいします」
前日同様にポーズをとってモデルに臨もうとしたら
「ちょっと待って!その前に一応訊いておきたいんだけど!」
!!
また矢澤さんでした…
最初の頃とは違って
矢澤さんの無遠慮な言動と、それに気圧されて困惑するスリップ姿のハニーの図式というのを…
いつの間にか他の部員は 〜男女関係なく〜 面白がっているようでした
「事前に入手したあんたの情報、ぶっちゃけスリーサイズなんだけど…でいい!?」
私は赤面しました… なおちゃんでしょうか…私のスリーサイズを…男子生徒の耳目に触れる環境で情報提供していたみたいです…
私が力なく頷くと
「一応、確かめるわね 次の衣装のサイズが合わないと困るから!」
私は部長さんに助けを求めようとしましたが、申し訳なさそうな表情を向けるだけで助けてはくれませんでした
既に私の体型にぴったりのスリップでモデルを一日務めているのですから、今更衣装合わせもない…そう思ってもいたのですが抗うわけにもいかなくて…
男子生徒も見守るなかで 私の身体測定が始まりました…
「トップバスト!…アンダー!…ウェスト!…ヒップ!…(数字は内緒にします)」
絵本の世界で小動物が樹の幹の周囲をくるくる回るように、矢澤さんは私の周囲をくるくる回り、メジャーを巻き付け…年頃の女の子にとって とても恥ずかしい情報を…年頃の男子がいる室内で読み上げていきました
男子部員のどよめきと照れ笑いが混在する空間で 私は泣き出したい気持ちになっていました…
けれども涙を流したり 目を泣きはらしてしまえばまた何か言われると思い、必死でこらえました…
身体測定が終わると 改めて部室中央のステージに立たされ 花瓶を掲げてのポージング…
異様な空気のなかで描画が進んでいきました…
油絵の具で着色を始める人…四角い筆記具(コンテ?)でシャカシャカ描き込んでいく人…私には彼らがどんな作品を目指しているのかよく分かりませんでしたが
「もういいよ」
の声がかからなかったのでステージでポージングを続けました…
けれども「15分のポージングの後で10分の休憩」…そのルールが守られなくなったので
こちらも〈もうモデルをする必要はないだろう〉と思ってステージを降りましたし、部長も副部長も矢澤さんも咎めはしませんでした
「ごめんなさい…矢澤さんが仕切り出すと誰も止められないから…」
部長の言葉をむなしく感じながら、私は制服に袖を通しました…
背後できこえる キャンバスを擦る音 油絵の具のきつい香り…これからみんなの描いた絵がどういう風に仕上がっていくのか…期待と不安がせめぎ合って…二日目は終わりました…
モデルとしての二日目が終わりました
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