晩夏…というよりはまだ「夏真っ盛り」と云っても過言ではない美術室… クリーム色のカーテンが隙間風で物憂げにたなびいていました
鼻を刺すようなテレピン油と油絵の具の匂いに戸惑いながら、私は籠の中に用意されていたスリップを手にしました…
〈薄い…〉
美術部が創作をする空間とはカーテン1枚で隔てられた美術準備室…カーテンが引かれていることを何度も確かめながら
覗かれていないことを確かめながら 私は制服に指をかけました…
…
【少し時間を遡ります】
なおちゃんに促されて足を踏み入れた美術室…なかでは美術部の部長というか リーダー格なのであろう男女の生徒が待っていました
「あなたがモデルを引き受けてくれた人?助かるわ!」
私は面食らいました モデルって…
「恥ずかしがって部員が誰も引き受けてくれなくて…」
お話の内容はこうでした
その年の美術部の作品テーマは“透明感のある女神(ミューズ)”
イメージしていたのはアングル(ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル)の描いた“泉”という作品やミロのヴィーナス…
美術部で発言力のある…なんというか…要するに上手に絵を描ける部員(それも女子部員)が「作品を完成させるためには多少の肌の露出もやむを得ない」と啖呵を切ってしまったそうです
それで…モデルにされかねない女子部員は抵抗したり 退部をほのめかしたり 男子部員ですら「やってみたい」と「まずくないか?」の気持ちがせめぎ合って 話が紛糾したまま夏休みに入り、夏休みが終わりに近づいても話が纏まらなかったということでした
でも 美術部のプライドにかけて例年通り 競作と巨大壁画を発表したいということで モデルになる人物を探していたそうです
それをなおちゃんが聞きつけて、私に…
【美術準備室での話に進めます】
…
美術準備室で女子部員 〜啖呵を切ったという女子部員〜 に指定されたとおりの姿になりました…
脱衣籠に靴下とスカート、制服を投げ入れ…ブラジャーも…
淀んだ空気の漂う美術準備室…アトリエを兼ねた部室とは異なり、蒸し暑い環境でした…
ショーツだけの半裸になった私は 部が準備した薄手のスリップを改めて手にしました…
サイズ的には・・・私が着用するにしては1サイズくらい小さめのサイズでした…
そして…スリップの生地は息をのむほどに薄手で…
それに胸当ての部分には 普通ありがちなレースの刺繍のようなものが何もなされていない簡素、というよりもむしろ貧弱なもの…
胸の頂きも ショーツも透けて見えるような 頼りないものでした…
〈こんなに薄手のものを…〉
それでも私はなおちゃんの指示に抗うことが出来ず、スリップを纏い…美術室と準備室を仕切っていたクリーム色のカーテンを開けました…
!!!
室内を見渡して 私は言葉を失いました…
相談を受けた男女(やはり女子が部長、男子が副部長でした)
スリップを着るように指示してきた女子部員のほかに…10名はくだらない男女生徒…どの生徒も照れているというか、「目のやり場に困っています」と露骨に訴えるような表情を浮かべていました
慌ててスリップの上から胸元と…ショーツだけを残した下腹部を掌で隠そうとしたら
「ちょっとあんた!スリップに皺が出来るでしょ!手を離しなさい!」みたいな叱責が…
部長と副部長が慌ててその場を繕って
「やめろよ、折角モデルを買って出てくれたんだから そんな言い方はないだろ」
みたいに…でも どうやら実力のある女子部員 〜矢澤さんという名前でした〜 にはあまり強く言えないみたいで 彼女の語気は和らいだりはしませんでした。
「じゃ、お願いするわ! ここに…」
部屋の中央に置かれた小さなステージに歩みを進めると 足元に置かれていた花瓶のようなものを指さされました…
「アングルの“泉”からインスパイアされたんだけど…やってみて」
美術の便覧というか、画集のようなものを鼻先に突きつけられて…
同じようなポーズを要求されました…
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