私はレッスン用のかばんの中に、練習用のパレオが入っていないことに気づきました…
普段着として身に着けていたのはデニムのスカート…これでは練習の時にもつれてしまう…
「どうした?ガールフレンドちゃん」
私は困惑しながら事情を説明しましたが
「気にしないでいいよ、それならスパッツだけで練習すればいい どうせ誰も見ていないんだから。いずれ恵も来るだろうから、それまで練習するといい」
私は先生に促されるまま、Tシャツにスパッツという 同世代の男子には見られたくない姿で自主練習を始めました…
季節は夏…適度にエアコンは効いていましたが すぐに汗が流れてきました
ワルツ、タンゴ、ジルバ… もう忘れましたがそんなジャンルのステップの練習だったと記憶しています。
「だめだめ!そんなステップじゃ恵には勝てない! このままじゃ、青児を取られちゃうかもな?ガールフレンドちゃん?」
私は屈辱と憤り、焦りの入り混じったまなざしで宮田先生をにらみました
「俺がパートナーになってやるよ、しっかり覚えてな」
…
早見くんではない、大人の男性とからだを密着させて踊る 不思議で妖しい感覚… 先生が纏っているコロンの香りに酔ってしまって
私は床にしゃがみこんでしまいました…
「…弱いな…この程度で音を上げるなんて…」
私は泣きたくなる気持ちで宮田先生を仰ぎ見ました
「表情にも、ステップにも 大人の女性としての色気が感じられない。これじゃぁ恵には勝てないな」
いつもとは違う 突き放すような物言い…
「どうしたら 色気をアピールできると思う?」
…宮田先生の巧みな罠に すでにはまっていたのだと そのときには気づけずにいました…
逡巡する私に思案するすきを与えないかのように
「もっと別のステップもやってみるか」
…
おそらくこの音楽だったと思います。
ジャンルは「ラテン」でしょうか…
宮田先生が「ワン・トゥー・スリー・フォー、ワン・トゥー・スリー・フォー…」と手拍子しながら私にステップを教えてくださいました…
腰というか 体全体をくねらせながら踊るタイプでしたが 格式張っていないだけに、逆に取り組みやすかったのを覚えています
自分でも
「ワン・トゥー・スリー・フォー、ワン・トゥー・スリー・フォー…」
と唱えながらやっていたのですが 宮田先生の期待値には及ばなかったみたいです…
「まだまだだね…少し休憩しようか」
そういいながら、先生はなぜかベストとシャツを脱いで、上半身裸になってしまいました…
「ダンス大会の会場ってさ、密閉されていて空調も悪かったりするんだよね。だから暑さにも耐えられないといけないんだけど 今日は特別に暑いね」
胸元を伝い落ちる汗のしずくを見て 早見くんにない 男性の色香に惹かれていく自分…
「惠さんに早見くんを取られたくない」
という気持ちから
「宮田先生に気に入られたい」
というゆがんだ気持ちに自分がとらわれていくのが分かりました
「先生、私と踊ってください」
面食らったような宮田先生の視線
「おこちゃまの相手は勘弁してほしいよな…惠よりも色気を感じないと… で、どうしようか?」
…
早見くんとからだを密着させて踊る恵さんの姿が脳裏に浮かびあがりました…
惠さんよりも色気を出して宮田先生に好かれるように…
その7はこちらです
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