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2020年09月13日00:11

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映画を作ること自体が映画 『トーキング・ヘッド』

押井守監督の初期実写映画をAmazon Primeで続けて見ています。

映画製作の狂気を描いた『トーキング・ヘッド』を先日見ました。
1992年の作品です。

【物語】
トラブルに見舞われた数多くの作品を完成させてきた、アニメーション監督の”私”(千葉繁)に、大作劇場アニメ『トーキング・ヘッド』のプロデューサーから声がかかる。
納期目前にも関わらず脚本すらなく、監督が失踪したため、あとを継いで完成させて欲しいという依頼だった。
さっそくスタジオに入った私は、混沌とした製作現場に戸惑いつつも、制作デスクの半田原(立木文彦)と協力し、何とか製作を進めていく。
しかし脚本家が惨殺されるという事件が発生。続いて色指定、作画監督も不審な死を遂げ、現場は混迷を深めていく。

…押井守が『うる星やつら オンリー・ユー』の監督交代劇で体験したエピソードが元になっている作品。この映画自体が映画(アニメ)製作を描いており、映画を作ること自体が映画であるという映画論的映画です。トリュフォーの『アメリカの夜』へのアンチテーゼのようでもあります。

脚本家・伊藤和典の実家であった映画館でロケを敢行。客席に組まれたセットで物語が展開するなど、映像はシュールです。ジョルジュ・メリエスやルミエール兄弟へのオマージュもありますが、それほど映画史に傾倒しているという訳ではなく、あくまで押井守的世界がひたすら展開していきます。

伝説の監督を演じる千葉繁が、映画の音響監督も兼任しています。

内臓のすべてが病気という過労気味の制作デスク役、立木文彦が怪演(「新世紀エヴァンゲリオン」の碇司令!)。あまりの過労ぶりに死んでゾンビと化し、なおも映画を作り続ける狂気の姿は、映画に憑りつかれた者の呪いのようで、可笑しくもあり、哀しくもあります。

★★★★。
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