mixiユーザー(id:6337596)

2020年07月10日18:59

36 view

新時代の傑作ホラー 『透明人間』

H・G・ウェルズの「透明人間」は、これまでに何度も映画化されてきましたが、新解釈で新たに映画化された同名映画『透明人間』を見て来ました。

日本ではコロナ禍をまたいでの公開。低予算ながら、本国アメリカ(米豪合作)では大ヒットを記録しています。古い題材でも十分に面白く映画化できることを証明したということになります。

ユニヴァーサル映画。1933年の元祖クロード・レインズ版もユニヴァーサル映画でした。ホラー名門老舗の意地を見せつけたようでもありました。

【物語】
セシリア(エリザベス・モス)は、自分のことを異常に束縛する彼氏エイドリアン(オリーバー・ジャクソン・コーエン)の屋敷から逃げ出し、友人の警官の家に身を寄せる。まもなくエイドリアンは自殺してしまう。彼は光学研究の第一人者であり、富豪でもあった。
しかし、死んだはずのエイドリアンの影がセシリアに付きまとう。彼女の身の回りでは異常な事態が次々と起き、精神的にも肉体的にも追い詰められていく。
やがてセシリアは、エイドリアンの屋敷で、彼が研究していた衝撃の発明品を発見する。

…主人公は悲劇の科学者ではなく、その科学者(透明人間)に執拗に付きまとわれる女性というのが面白いです。演じるエリザベス・モスは美人とは言い難い女優ですが、狂気の淵に追い込まれつつも必死に反撃に転じるヒロインを巧みに演じており、見応え充分です。

対して透明人間の方はほとんど素顔を見せず、招待を現してからもその存在感は極めて希薄なのが怖い。透明なときの方が個性を持っているようで、何となく今の社会を象徴しているようです。

ホラー畑出身のリー・ワネル監督が目指したのはヒッチコック・スリラーだそうで、カメラワークから音楽に至るまで、ヒッチコック・タッチなのも頷けます。奇抜な演出はせず、正攻法で、じっくりゆっくり対象をとらえるカメラワークも秀でています。

このテの科学系ホラーにありがちなエンディングでないのも良かった。極めて完成度の高い映画です。★★★★。
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年07月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031