音だけで人を救えるか 『THE GUILTY/ギルティ』

全編、ほとんど音だけで物語が進行するというシチュエーション・スリラー『THE GUILTY/ギルティ』を見て来ました。珍しいデンマーク映画です。

85分という短い上映時間ながら、見終わった後はどっと疲れる映画です。爽快さはないです。


【物語】
警察の緊急コールセンターでオペレーターとして働くアスガー（ﾔｺﾌﾞ･ｾｰﾀﾞｰｸﾞﾚﾝ）は、事件がきっかけで刑事職を降ろされていたが、間もなく復帰が決まっていた。
ある夜、センターにかかってきた救助要請の電話を取ったアスガーは、電話の相手の女が誘拐されている最中であることと、女の自宅に幼い子供たちが残されていることを察知し、パトカーや警官を手配する。電話の向こうのわずかな音などを手掛かりに、誘拐犯を突き止めて女を救おうと必死になるアスガーだったが、驚愕の真実が待ち受けていた。


…若き日のブライアン・デ・パルマが撮っていたらもう少しテンポよく面白くなっていたと思うのは贅沢か（音スリラー『ミッドナイト・クロス』を撮ってるし）。それでも、登場人物はほぼ１人、電話の会話だけで進行するという面白さにはやられました。

ＰＣやスマートフォンの画面だけでサスペンスが進む映画『search サーチ』は、アメリカ映画らしい分かりやすさとハッピーエンドを見せてくれますが、この映画はデンマークという国のお国柄もあるのか、ずっしりと重い足かせをハメられたようなラストを迎えます。救いはありましたが、苦さも半端ではないです。

全編通してほぼ出ずっぱりの主人公役、ヤコブ・セーダーグレンは初めて見た俳優。うまい役者だと思いました。苦悩の表情がたまりません。

映画のキモである音響効果は、ホームシアターでぜひ再現してみたいところです。★★★。