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2021年04月11日04:17

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英語の先生はこの映画を“エモーショナル・ローラーコースター”と呼びました。タイカ・ワイティティ監督「ジョジョ・ラビット」(2019)で英語のお勉強。

2019年の11月に書いた日記では、公開前ということでネタバレしないように日記を書きました。今回はDVDも発売されて結構経つから、ネタバレがあってもいいと考えて書きます。ということで未見の方は読まないほうがいいかも。って、今まだ見ていない人は、どうせ一生見ないでしょうから読んでも意味がないと思いますけどね。

原作はクリスティン・ルーネンス(ロイネンス?)の「Caging Skies」で、監督のタイカ・ワイティティが脚本を手掛け、アカデミー脚色賞を受賞しました。ワイティティ本人が主人公と同じくシングルマザーのもとで育ったようです。そのワイティティが、ジョジョ(ヨハネスのアメリカ的な愛称)の空想として出てくるアドルフ・ヒトラーを演じているわけです。

少年の空想の“友人”(同世代の友人を差し置いて一番の親友だと言ってます)が、over the topだと先生が言ってました。誇張する、やりすぎという意味だそうですがこの映画では“やりすぎ”ではないと。観客の喜怒哀楽を見事に操るということからエモーショナル・ローラーコースターだねと言ってます。

ジョジョ少年は、ナチスの宣伝に乗せられヒトラー・ユーゲントに入って戦闘訓練を受けていますが、手榴弾を投げそこねて顔などに傷を負います。映画ではたいした傷跡ではないように見えますが、“フランケンシュタイン”と呼ばれる。ジョジョの母親(スカーレト・ジョハンソン)が、訓練担当教官の大尉K(サム・ロックウェル)に文句を言いに行ったと思ったら、ひと言も言う前に彼を蹴り上げてしまう場面が素晴らしかった。

このスカ女が、撮影現場では少年俳優のローマン・グリフィン・デービスと、ずっとふざけ合ってたそうです。スカ女とバカにしてたけど、プロ意識は高い女優さんなのですね。現場の雰囲気を高める努力を惜しまない人らしい。←いやはや、俳優さんって大変な仕事ですね。僕には無理ですわ。

そしてサム・ロックウェル扮するK大尉が、実はジョジョの母親に好意を持っていて、最後はジョジョを助ける工夫までするあたり、いい話でした。映画のレーティングがGだから、彼が殺される場面は見せませんけど。←レベル・ウィルソン扮するフロイライン・ラーム女史も、軽機関銃を手に飛び出していくだけ。

少年の腹部にチョウチョが群れをなしているというCG合成シーンがありました。色とりどりのチョウチョが胃の中にうごめくのですが、これが鮮やかな色彩なので面白い。モンシロチョウとモンキチョウがほとんどの僕には、まさに“バタフライ”という印象でした。have butterflies in one’s stomachという慣用句は、そわそわして落ち着かない、という意味で使われるそうです。その胃の中のバタフライが一羽お腹から飛び出して、それを少年が追うと〇〇の〇〇を見つけるのでした。

面白かったのは、先生が日本語の“そわそわ”という語句を知らなかったこと。これも一つのオノマトペかな? 時々われわれが口にする日本語の言い回しを喜んでくれるから、単なる英語の授業じゃなくて楽しいのです。“fidgetyかぁ”と、僕たちも“新語”を勉強できる。和英のアプリだと“そわそわ”=rustlingと出るようですが、これだと枯葉の音とか衣擦れの音なので、日本語の雰囲気は薄まりますね。

そして兵士の装備が話題になり、日本人には飯盒というものが欠かせないと盛り上がりました。食器類を携帯用にまとめたセットをmess kitと言うらしいですね。messというのは兵士たちの食堂(mess hall)だったりします。もともとはヒンディーやペルシャ語から始まったそうな。アメリカでは戦場での大鍋をdixieと呼ぶそうです。

こういう上質のファンタジーを見ていると、僕は自分が豊かになった気がします。ギスギスした“現実的なドラマ”が、上っ面だけ現実的だと腹が立つのは、この“豊かさ”をないがしろにしているから。単純明快に論理を用いると、えてして薄っぺらなドラマに終わります。そういう意味で「ジョジョ・ラビット」は、優れた家族向け映画でした。
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