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2021年03月07日04:52

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またしても天才チェス少年の物語かと劇場ではパスしていたけど、けっこう“ええ映画”でした。ピエール・フランソワ・マルタン・ラヴァル監督「ファヒム パリが見た奇跡」(2019)。

公開当時に“僕が行ける”映画館でやっていたけど、またぞろ天才チェス少年の話かよとパスしていました。でもFBの友人が“グッドな部分がある”と言ってたから、契約中の有料BSで放送したから録画しておきました。2月のアタマに録画していたのに今ごろ見てるわけですけど。←それくらい、チェスの天才少年(少女)の物語には、もう食指が動かない。

今回はバングラデシュの少年が主人公で、亡命先もフランスでした。身の危険を感じた父親が、家族を救うためにまずフランスへ行き、仕事を見つけて家族を呼び寄せると計画します。その手段に、チェスのうまい息子を使う。ところが、そもそも旅費をどう工面したのか、はたまた出入国管理をどうくぐり抜けたのか、そのあたりを詳しくは描かず、すぐにパリにたどり着く。だから、“ええんかいな”と呆れ気味に見ていました。

パリの路上で赤十字の人たちに救われるという偶然も、ほんまかいなと思うけど、事実を元にしているというテロップの効き目で見続けました。そして少年は、かつては世界選手権を夢みた初老のチェス棋士シルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)に認められて、フランスにおける小学生選手連に挑む、という展開です。←ドパルデューの実年齢よりもずっと若い人(享年54歳)らしい。

ここでも、主軸のチェス大会への物語が牽引力になるのではなく、シルヴァンの人間性や生徒仲間たちの交流、そしてシルヴァンが同僚のマチルド(イザベル・ナンティ)に思いを寄せているなど、脇道描写が楽しいのでした。何よりも僕は、チェス仲間の少女(サラ・トーフィック・オスマン・シュミット)が、「ゆるキャン△」の大垣千明にそっくりに見えたからGOOD!でした。

それでいて、主人公の少年が仲間の家を泊まり歩き、いろいろ優遇されているから幸せなのだと思っていたら、少年は“あんなのお情けだ。パパと暮らしたい”と、バングラデシュからの難民たちが暮らすホームレスのたまり場に逃げてしまうなど、実にサラリと実態を見せてくれるのでした。僕は、見えすいた人情や思いやりというものが大嫌いだけど、こういう優しさに彩られた親切心は“有効”に思えたのです。

とはいえ僕は、ストレートに話が通じない人間に対して罵倒するタイプなので(他人事にしてごまかしてます)、この映画のようなスタンスは取れないと思います。でも、実生活では有効な手段だから学ぶべきだとは感じました。そういう意味で、僕の人生を変えてくれた映画の1本だと言えるかも。

やはり個人的には、ミーラー・ナーイルによるウガンダのチェス少女物語や、スティーブン・ザイリアンの「ボビー・フィッシャーを探して」のほうがいいと思うけど、今回の「ファヒム」も、そこそこの出来だということ。←「2355」の“日めくりのジョージ”の弟子よりも優れているでしょうけど。

ということで、御用とお急ぎでない方は一見する価値のある作品だと思います。「ゆるキャン△」ファンなら、ぜひどうぞ。←でも、大垣千明のテストのように“86点”は無理ですよ。優良可の三段階評価なら可、いやABC評価ならBプラスでもいいか。
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