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2021年02月28日01:58

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“日常”の積み重なりが、人の気持ちのリアルなズレ方と共に、不思議な存在感を醸し出す映画でした。ミカエル・ハース監督「サマーフィーリング」(2015)。

監督の名前がMikhaël Hersなので、ミカエル・ハースだと思うのですが、パリ生まれのフランス人ということならミカエル・アースが正しいのかな? そのうち表記が定まるでしょうから、今のところ「アマンダと僕」を見たときにハースと書いたから、のちの検索に引っかかるように両方書いておきます。すべての検索に“あいまい検索”が可能だったら、それこそ検索にならないかもしれないしね。

そうなんです。「アマンダと僕」を見たときに、この監督のその前の作品である「サマーフィーリング」をレンタルで見ようとリストに入れていたのです。しかし、そのうちにレンタルDVDよりもCS5チャンネルセットのほうが必要な気がして(日本映画専門チャンネルで放送するドキュメンタリーなどです)リストに残したままレンタルそのものをやめてしまいました。その「サマーフィーリング」をザ・シネマが放送してくれたしだい。

この映画は、最初の10分間で字幕が5枚しか出ません。それも挨拶とか、人名とか。つまり淡々と日常を見せるわけです。男と寝ていた女が男をそのままにして起き出し、仕事に出かける。仕事はシルクスクリーンの印刷で、だからアーティストなのでしょう。そのサシャ(ステファニー・デール)が、仕事を終えて帰宅途中に公園で突然倒れます。そしてあっけなく他界する。

この展開がなかなかでした。男(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)はロランスと呼ばれていますがアメリカ人らしい。僕はベルリンという街に馴染みがないので、英語とフランス語が中心で話が進むから、最初の町をケベック州のどこかだと思っていました。テロップを見落としたのかな。ま、どこであろうと構わないのですが。

サシャの死後5日目としてサシャの家族たちとロランスが語らいます。ロランスは小説家志望だけど翻訳の仕事で生計を立てているらしい。ロランスはサシャの妹ゾエ(ジュディット・シュムラ、ジュディス・シェムラ?)に会うと、サシャに似ているため取り乱しそうになる。←ゾエと聞こえたり、ゾーイと聞こえたりするので、ジュリー・デルピーが同じ名前の役をやっていて“ゾーイでもゾエでも、どっちでもいいわよ”と言っていた映画を思い出してしまいました。←「キリング・ゾーイ」(1993)です。ロジャー・エイヴェリーって、最近聞かんな。

そこから話は1年後のパリへ飛び、さらに1年後のニューヨークへ飛ぶ。原題を英語にすると「That feeling of summer」だそうで(byグーグル翻訳)、「あの夏の気持ち」っていう感じかな。特定の“あの”ではなく、一般的な夏の気分です。ほら、夏の終りって寂しいじゃないですか。昔友人が、“夏って、本当に終わるという気分がする”と穿った言葉を使ってました。

そんな“夏の終り”体験記という映画なんです。説明が少ないから、誰と誰がどういう親族関係なのかピンと来ませんが、そんなことより展開する人間関係がリアルで興味深い。つまり惹かれ合いながらも気持ちが少しズレるという、リアルな感覚が僕にはツボでした。だから、ラストシーンもメデタシメデタシではないと思う。

この感覚を、“フランス映画らしい”などという通俗的な垢だらけの単語で言い表すのは失礼だと思うから使いません。そもそも僕は、そこまでフランス映画を知らないのです。あるいは、フランス映画の様々な個性を知っているからこそ、それらを一絡げに簡単には呼べないのですかね。←って、他人事のように発言すること自体、すでにごまかしです。

ま、この「サマーフィーリング」は「アマンダと僕」ほどに優れた作品ではないと思うので(そう感じない人もいるでしょうけど)、僕にはそんな感じでした。それが、池野めだかのキメ台詞“今日はこのくらいで堪忍しといたるわ”なのかどうか、ミカエル・ハース監督の次回作「Les Passagers de la nuit」(現在編集中らしい)を見れば分かることでしょう。でも「夜の乗客」といわれたらチャールズ・ブロンソンが出てきそうだな。

なおジャン・ピエール・カルフォンという名前を久しぶりに目にしましたが、顔で判別できませんでした。サシャの父親だったような(写真2)。それとニューヨークが出てくると通りの名前をチェックしてしまいます。写真3のアパートは、ブルックリンの北6丁目とベドフォード・アベニューでした。ウィリアムズバーグ橋が見えているのにマンハッタン橋だと思ってしまった。長らく行ってないから記憶が…。はやくコロナが収束してくれないと、二度と行けなくなるやんか!
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