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2021年02月26日03:28

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共通点を感じて“響き合う”楽しさや嬉しさに、感極まりました。「越境する紅テント〜唐十郎の大冒険〜」と「“ネチネチでバチバチ”な雑草魂 〜元大リーグ・上原浩治投手〜」。

NHKで放送した、“アナザーストーリーズ 運命の分岐点”「越境する紅テント〜唐十郎の大冒険〜」と“千鳥のスポーツ立志伝”「“ネチネチでバチバチ”な雑草魂 〜元大リーグ・上原浩治投手〜」を見ました。

「越境する紅テント〜唐十郎の大冒険〜」については、池島監督が褒めていたので見たのですが、演劇というものにまったく関心をなくした僕が、学生時代に見て感激した状況劇場の芝居を、歌舞伎の中村勘三郎が見て“これこそが歌舞伎のあり方そのもの”と平成中村座をたちあげたという逸話が、とても面白かったのです。

僕は大学生になってすぐ、映画研究会に入ろうとしたのですが、僕の大学では映画研究会がなくなっていました。だから似たようなクラブということで、“鑑賞と批評の会”というものを紹介されて入ったのはいいのですが、そこでは広く芸術全般を鑑賞するということで、とりわけ演劇に力を入れていたと思います。少なくとも、会員が切符を持って売り歩くのは労演の芝居が多く、映画の割引券や鑑賞券はまずない。

演劇を見たことのない僕は“まずは見ろ”ということで、民芸の芝居などを見に行きました。それにはピンと来なかったけれど、同時期に「映画評論」誌で唐十郎の状況劇場を取り上げていたことから、こんな芝居はどうだろうと興味がわきました。そして友人たちが3大学ゼミということで上京する旅に紛れ込み、僕は映画と芝居を見歩いたしだいです。

詳しく言うと、僕は昼間東京でしか上映していないロードショーや名画座をハシゴし、夕刻以後にゼミを終えた友人と合流して状況劇場を花園神社で見る、というかたち。僕に“行かないか”と誘った友人は、僕程度に紅テントを知っていたわけです。

早々と行列に並んで、いの一番に入場してかぶりつきに座った僕たちは、「由比正雪」の川(堀か?)に見立てて水を張った穴の真ん前に座ったので、川にハマったという場面では水しぶきを浴びます。それどころか、目の前に座った四谷シモンが、熱さでムンムンするテント内で扇子を使う友人を見て、“それ、いいわね。ちょっと貸して”と取り上げてしばし扇いだのでした。

不破万作たちが小道具の剣を眺めて、“剣は異なものと言うではないか”、“それは縁は異なものだ。お前は厳密性にかけておるぞ”とやり合うシーンには、思わず大爆笑したことをよく覚えています。そしてラストは、後に“屋台崩し”として定番になるスタイルではなく、出演者全員が綱を引くとホリゾントいっぱいに鏡が持ち上がり、なんと観客の我々の姿が映し出されるのでした。

中村勘三郎は別の芝居を体感して、状況劇場に夢中になったそうです。紅テントはゲリラ的な活動を続け、何百人もの機動隊に取り囲まれて逮捕される事件まで起こします。それを唐十郎は芝居の一部に取り込んだらしい。ほぼ同時期に僕は、天井桟敷の「さらば映画よ」を新宿ピットインで見て、客を無理やり詰め込む状況からそのまま芝居をスタートさせる手法に驚いたのでした。

その後僕は芝居から離れます。やはり映画のほうが、見直したときに前回見たものと同じものを見ているのに印象が微妙に違うので、僕の内部の相違点を見つけやすいから。芝居だと僕の違いなのか作品の違いなのか、判別できないことが多いわけです。そういう意味で僕は“楽な方を取った”といえます。

しかし中村勘三郎(当時は勘九郎)は、伝統芸術である歌舞伎そのものを状況劇場の発想でとらえなおそうとした。しかし父親の先代勘三郎から“百年早い”と言われて断念、歌舞伎界の重鎮の地位を築いた後に平成中村座を興します。ここで勘三郎が述べた言葉がすごい。“型を持った人が破るから型破り、型のない人が破ったら型無し”ですと。この言葉の原典がラジオの「子ども電話相談室」の無着成恭かどうかは知りませんが、実に的を射た発言だと思います。

なによりも、歌舞伎界の大立者となった人が、若き日に見た状況劇場の芝居に感化され、それを自ら体現するということに驚いたしだいです。

同時期に見た千鳥のスポーツ立志伝”「“ネチネチでバチバチ”な雑草魂 〜元大リーグ・上原浩治投手〜」では、大阪人のくせに巨人に入って活躍した上原浩治という投手を取り上げていました。こちらは「レェンド」シリーズとは違い、どちらかというとイジリたおすバラエティ番組ですが、上原が引退声明を出したとき野村克也が“表彰状”を送ったという事実に驚きました。月見草が雑草魂にラブコールを送ったわけです。

そのシーンで上原は涙を流していました。何度もいいますが、涙を流すからいい場面なのではなく、感極まって涙が出るほどいい場面なのです。平成中村座の写真などを見せられた僕も、この上原浩治と同じ気持ちだったように思える。感極まりました。

だからといって「アナザーストーリーズ」がいい番組だというのではありません。むしろダメな番組です。わざわざパレスチナまで出かけて、パレスチナで状況劇場の芝居を見た人間を探し出して取材しているのに、うすっぺらなニュース映像にもならない表現は何だ? パレスチナ問題への切込みを番組内で果たすと、内閣官房室から横やりが入って左遷させられるのか?←ともかく、なくていい逸話でした。

とりあえず、昨今のNHKの人事異動のニュースには、内閣官房室の意向がちらついて腹が立ちます。今のNHKでは、福本豊の“国民栄誉賞なんかもらったら、立ち小便もできへん”という言葉を引用する程度しか政府に物申せないようです。テレビ各局ではお笑いタレントがコメンテーターに起用されることが多く、中には穿った意見もありますが、大半がダジャレ程度でお茶を濁している。エド・マローに代表されるジャーナリズムは、すでに過去のものでしかないのか?

そういえば「球辞苑」では、司会者が“不祥事”のせいでナイツの塙にワンポイントリリーフかと思ったら、塙が続投を続けています。立場の弱い人間なら永久追放で、内閣の意向にはすぐ従うなんて、マスコミとしての立場はどうなる。そんなことだから、視聴料の支払いも滞るのだと僕は思いますね。ま、外部の人間だから自由な発言ができるのですけど。
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