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2021年02月25日02:40

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こんな“ええ話”を通俗に貶めて映画にしていいのか?と思います。スコット・スピアー監督「ミッドナイト・サン 〜タイヨウのうた〜」(2017)。

そもそもが2006年公開の日本映画だそうですが、僕は全くパスしていました。公開当時知っていたとしても、プロットを読んだだけで無視したでしょう。つまりジョン・トラボルタ主演のテレビ映画「プラスチックの中の青春」(1976)があるわけで、そのパクリだと認識していたと思う。しかしそれは僕の誤解で、「プラスチックの中の青春」は先天的免疫不全症候群でした。

とにかく、知っていたら見なかったでしょう。でも、たまたま録画したところ、その前に録画してあった「コロンバス」(2017)という作品が、なんかもったいつけたカッコだけの映画なので30分ルールを適用したわけです。その後に録った「ミッドナイト・サン」は91分。手頃じゃありませんか。だから見てしまいました。

こちらは少女がXP(色素性乾皮症)という病気だそうです。太陽光にさらされると死に至るらしい。そこで小学生時代から自宅の締め切った部屋で暮らしています。僕はこの病気のことを全く知らないので、窓ガラスに半透明のシールを貼っただけでOKなの?とか突っ込みながら見ていましたが、何よりも浜辺で娘を抱いて(発病前です)ギターを弾き語る母親との関係がいい感じだったのです。

幸いにも、少女のアイコンとなる青年が、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子だということを知らずに見ていたことも、いい方向に働きました。そもそも野郎については無関心なので、僕は感知しません。そして主人公を演じるベラ・ソーンって、僕好みの薄幸少女なんですが、いまいち切れ味に乏しい。だったら親友モーガン役のクイン・シェパード(写真3)か、女医役のスレイカ・マシューを追いかけます。

という程度の作品を取り上げて、なぜくどくどと文句を言っているのかと訝る諸姉兄は正しい。それは、この映画がときおり見せる、“ええ感じ”がポイントなのです。父親が、僕にはどうみても悪漢でしかないロブ・リグルですが、とことんええ父親なんです。それを許すか許さないかですが、それを受け入れてしまったわけですね。

だからその後の、浜ちゃんやったらカットする(と言いつつ最近は垂れ流してばかりの)ええ話なんですが、最後まで見てしまいました。ベラ・ソーンが歌う主題歌なども、どう贔屓目に見てもヒットする内容じゃない。これがジョセフ・ブルックス監督の「マイ・ソング」ほどの出来栄えだったら、僕は狂喜したでしょうに。

てなわけで、近ごろ涙腺のゆるくなった僕でさえ眉に唾をつけたくなる作品ですが、“優しさに、また、だまされてみるか”という思いやりのある方なら、この映画を楽しめるかも。←今引用したセリフが、誰のなんという映画からなのか、それこそ映画検定試験に出題してほしいと僕は思う。そして分からない人は全員失格にしたい。

そんな捻くれ者の僕だって、ただもれの安易な通俗ドラマに惹かれる弱さを持ち合わせているのです。しかしながら、そのだめな部分がより顕著であると想像に難くないオリジナル作品には、絶対に手を出さないと思います。“中身が同じなら、見かけのいい方を取る”という名セリフ(by高橋留美子)もありますから。
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