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2021年02月22日04:34

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やはりタラちゃんの最高作は、この映画です。とことん細部まで楽しめる。クエンティン・タランティーノ監督「パルプ・フィクション」(1994)。

先日「ジャッキー・ブラウン」を見直して、思っていた以上に面白かったので、“本家”はどうかいなとハイビジョンで見直しました。そしたらやはり「パルプ・フィクション」がタラちゃんの最高傑作だと思います。日記を読み返したら、日本での惹句(宣伝文句)が“時代にトドメを刺す”だったことを思い出しました(けんさん、ありがとゔ)。とどめを刺したかどうかの判断は別にして、強烈な登場の仕方をしたという事実は抑える必要があると思う。

物語はimdbの要訳が見事なので、それを引用しましょう。
The lives of two mob hitmen, a boxer, a gangster and his wife, and a pair of diner bandits intertwine in four tales of violence and redemption.
2人の殺し屋、ボクサー、ボスとその妻、そして食堂で強盗を働くカップルの人生が、4つの犯罪と贖罪に関する物語として絡み合う。
なかなか簡潔で見事な紹介記事です。

そして今更2時間35分もかけて見直す気が起きない方のために(しかしこの映画の良さはよく知っていると自身のある方のために)、imdbがリンクを張っているA Guide to the Films of Quentin Tarantinoという3分足らずの映像集をご紹介します。これを見れば、タラちゃんの映画の本質が感じ取れます。“感じ取れる”と書いたのは、僕の英語理解力では理解できないけれど、本質は感じ取れるから。
https://www.imdb.com/video/vi1419296281?ref_=tt_pv_vi_aiv_3

次に、この映画に使われたテロップをご紹介します。冒頭にまず2枚のテロップが出ます。
Title Card: pulp /'p&lp(引用者注=発音記号が文字化けしたらしい)/ n. 1. A soft, moist, shapeless mass of matter.(パルプ=名詞、1.柔らかく湿っている不定形物体)
Title Card: 2. A magazine or book containing lurid subject matter and being characteristically printed on rough, unfinished paper.(2.ばかげた主題を含み、粗雑な未精製の紙をわざわざ選んで印刷されている雑誌または本)←僕の主観的な翻訳ですから、適宜修正してください。

そして、テロップが出たことを忘れてしまうほど時間が経って(2時間近いと思う)から、今更“章立て”かよという雰囲気でテロップが入ります。
Title Card: American Heritage Dictionary(アメリカの遺産というべき辞書)
さらに十数分かそれ以上後にもう一枚。
Title Card: New College Edition(そのカレッジ版)←この2枚についても、僕が今グーグル翻訳を元に訳しただけですから、字幕からの引用ではありません。だから内容からかけ離れている可能性が大です。何?字幕はもっとかけ離れてる? そんなこと言うたらあかん。

ということで、この映画のポイントは登場人物の人柄です。たとえば6連発銃を全弾ぶっ放しても殺し屋たちにカスりもしなかった事実に対し、トラボルタは偶然を主張し、ジャクソンは奇跡だという。あるいは、ジャクソンが奇跡を信じて退職し、トラボルタだけを連れてボクサー(ブルース・ウィリス)のアパートで待ち伏せしているボス(ヴィング・レイムス)が、トラボルタのためにコーヒーを買いに出かけてやるとか、そのトラボルタは助けに来た掃除屋(ハーベイ・カイテル)の命令口調が気に食わないと不平を言い、カイテルの機嫌を損ねそうになるとか、そんな細かい描写が見事なのです。

カイテルは、細かい文句を言うジミーに札びらを切り、ボスはもっとお前を大事にしてくれるとなだめるし、父親の形見を置き忘れた妻の失態をなじるボクサーも、妻(マリア・デ・メデイロス最高!)が泣き出しそうになると“朝飯を食っておけよ”と金を置いて自宅に戻ります。そういう優しさがキモの映画なんです。そうそう、トラボルタがトイレで読んでいたのは「唇からナイフ」りモデスティ・ブレーズのコミック本だったっけ。

はい、この2段落に書いた細かい話を、面白いと思わない方はタラちゃんの映画に合わない方ですから、どうぞお引取りください。長らくのお付き合い、お疲れさまでした。今後僕が褒める映画についても、あんまり意見が合わないのではないかと心配しています。

それとこの「パルプ・フィクション」は、スケッチシークェンスの積み重ねが売りですから、オールシネマ・オンラインの記載にあるように“錯綜する時制の処理は思ったほどのまとまりではないが”などと、いかにも冷静に分析しているかのような方法だけを論じるノータリンの論法に関わってはいけません。こういう人はノータリン監督の“錯綜する時制の処理”をありがたがってメメントしておればよろしい。

写真は今回気づいた人だけにしました。まずはバディ・ホリーのそっくりさん(スティーブ・ブシェミ!)。そしてマリリン・モンローを演じたスーザン・クリフィス。そして6発全てを外したアレクシス・アークェット(アークエット兄弟の一員ですが、すでに2016年に亡くなっているようです)。

それにしても10年前にはimdbの“史上5位”だったこの映画が、今は8位にずり落ちています。何年後かわからないけど、僕がこの世からいなくなったころにはベスト10からもずりおちるのでしょう。そういう“ベスト”を信じる人は、興行収入の金額で映画の中身を判断する人と、ほぼ同質であることを反省してください。僕の死後にその現実を見届けた方は、歴史をきちんと読む視点を持った人間が何年か前にもいたということを知っていただけると、僕も浮かばれるというものです。
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