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2021年02月17日03:39

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やはりダメなシリーズに手を出してはいけないと痛感しました。ハンス・ペテル・モランド監督「特捜部Q Pからのメッセージ」(2016)。

「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」(2014)が面白かったので、この作品にも手を伸ばしましたが、やはりダメなシリーズに手を伸ばした僕が間違いでした。ということで、ネタバレ全開で書きますので、ネタバレが嫌いな方は読まないで、まず見てください。

物語は、またぞろ前回からの続きとなっています。とはいえ、しょーもないと引導を渡した映画の内容なんか覚えていないから、刑事のカール・マークが前作のせいでふさぎ込んでいると言われても、すでに記憶から消しているから思い出す気にもなりません。なのに思わせぶりな描写だけを繰り返す。こんな刑事は辞職させてしまえ。

そういえばアラブ系の相棒アサドがいたなと思い出しましたが、相変わらず彼の信仰についてカールが文句をつける。そんなハナシは置いといて今回の事件について掘り下げろよ。そもそも海から発見された8年前のメッセージとリンクする事件が、都合よくメッセージが特捜部に渡った直後に再現されるなんて、ご都合主義も甚だしすぎるだろ。

「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」ではこの監督、抑えたタッチとギャングたちの“激闘”のアンバランスな感覚で不思議な面白さを作り出していたのですが、この「特捜部Q」のご都合主義は、安易なテレビ・シリーズという意味しか感じられず、ダメダメのダメでした。

そもそも特定の宗教団体を実名で悪役にする気かとヤキモキしていたら、犯人は悪魔だったという。その程度の根性で宗教に切り込んだつもりになるな、と思います。アサドが言うように、僕も「2001年宇宙の旅」のモノリスのような存在としての神なら想定できるから、無神論ではないようです。←無神論者は神の存在について考えないと思う。

だから、ニヒルな刑事という色付けをしたつもりでしょうが、カール・マーク刑事が単なるアホにしか見えません。それをさっさと殺さずに生き延びさせる犯人は、このシリーズの原作者と同程度に刑事を理解しているわけで、そこまで知ってたらもっと慎重に標的として扱えよと思ってしまいました。

そもそも犯人の乘った車の後部窓を撃ち壊し、後部座席に入り込んだカールがさっさと犯人を殺害したら事件は決着していたはずなのです。走る車に飛び乗る力がありながら、数発の銃弾が犯人をかすめただけだなんて、ご都合主義もここまで極まったら言うことなし。もうこういうシリーズには二度と手を出しません。←でも、またぞろ似た手合に手を出してしまうだろうな。そうじゃないと「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」みたいな“傑作”に出遭えないし。

ということで「特捜部Q」には三度目の引導を渡すことにしましたが、この監督さんにはもう少し猶予を与えます。なにしろimdbによると、彼の監督作は14本もあります。そのうちの1本が「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」のアメリカでのリメイクなので、それは最後に回すとして(笑)、誰かが別作品を輸入してくれるはずですから。

そうは言うものの、やはり失望は大きい。デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーの合作という事実については、娯楽映画に不得手な文化大国が、猟奇趣味で儲けを企んだことに対する危険分担の結果だということです。かつてベルイマンを輩出し、ヨーロッパ映画の方向性を左右した各国が、このような体たらくでは困る。

日本映画が日本というローカル市場で外国映画を上回るカネを稼いでいる事実を、日本映画の勝利と考えている事実誤認(井の中の蛙発想です)にあぐらをかいている現実があります。日本映画マスゴミと、この北欧ドイツ合作軍団の発想は互角の勝負だと言わねばなりません。しかし彼らには「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」がありますが、日本にはせいぜい「万引き家族」ですからね。日本映画の未来はコロナ禍以上にお先真っ暗ですわ。
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